昭和54年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

12 自己相関関数を利用した音声処理方式(SPAC)

 郵政省電波研究所は,50年度に新しい音声処理方式SPAC(Speech Processing system by use of Auto Correlation function)を開発した。SPACは,音声波形を自己相関関数に変換して周期ごとに接続するが,自己相関関数の性質を巧妙に利用し,音声周波数帯域の圧縮・拡大と,音声信号に重なった雑音やひずみの低減を行う。したがって,この方式は音声を伝送する帯域幅の節減や,低品質の音声信号の品質改善に役立てることができる。
 51年度から,SPACのS/N改善能力の理論的解析と聴き取り試験による評価などがすすめられ,0dBの正弦波信号のS/Nは13dB以上も改善できること,音声のS/Nは6〜10dB改善できることが明らかになった。一方,狭帯域伝送(低ビット率伝送)への応用として,低速度ADM(8〜10kb/s)とSPACを組み合わせたところ,許容できる品質が得られ,52〜53年度には,実時間で処理を行うSPACの実験装置が試作された。この装置を用いて実用化への検討が進められている。

 

11 リンコンペックス通信方式 に戻る 13 直交偏波による周波数の再利用 に進む