昭和54年版 通信白書

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3 実験用放送衛星の開発

 実験用中型放送衛星(BS)計画は,将来の各種の放送需要に対処するため,実用放送衛星システム導入に必要な技術を開発し,技術基準を確立することなどを目的としたものである。
 BSは,53年4月8日,CSと同様に,米国航空宇宙局(NASA)により打ち上げられ「ゆり」と名付けられた。
 53年4月26日の最終軌道制御により同衛星は,東経110度の赤道(ボルネオ島カリマンタン西端)上空約3万5,800kmの位置に静止した。
 以後,宇宙開発事業団による約3か月にわたる初期段階試験を経て,53年7月20日から郵政省が中心となり,定常段階における実験を開始した。実験は,NHKの協力を得て約3年間にわたって行われる。
 地上施設としては,電波研究所鹿島支所の主送受信局兼運用管制局(BS主局),NHKの可搬A型送受信局(組立型),可搬B型送受信局(車載型),受信専門局A型(高感度型),受信専門局B型(中感度型),受信専門局C型(車載電測型),簡易受信局等がある。これらを使用して,衛星放送システムの基本技術に関する実験,衛星管制技術及び衛星放送システムの運用技術に関する実験,放送衛星電波の受信に関する実験を順次進めており,実験は順調に推移している。受信可能区域の測定実験では,全国的におおむね予測された値に近い電界強度が得られており,晴天時において,日本本土の大部分の地域では,アンテナ直径1m級の簡易受信装置で評価4程度,小笠原や与那国島等の離島では,直径4.5m級のアンテナで評価4程度の良好な映像及び音声が得られている。また,将来の新しい放送方式を検討するため高品質のステレオ音声信号の伝送実験,高品位テレビ信号の伝送実験,静止画放送信号の伝送実験等を実施して良好な結果が得られており,その他の各種実験の結果もいずれも良好である。これまでの実験結果から,放送衛星についても通信衛星と同様に早期に実用化できる見通しが得られている。

第2-7-2表 CS,BS,ECS-bの諸元

 

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