昭和54年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第8節 その他の技術

1 電話サービスの多様化技術

 電話の積滞解消と自動即時化を達成した今日,電話サービスに対する要望は従来の量的なものから質的なものへと大きく変化し,ますます高度化・多様化していく傾向を強めている。このため電電公社では,電話の効用が一段と高まるもの,公共性があり,社会福祉に役立つもの,地域社会の発展に寄与するものなどを中心に,新しい電話サービスの実用化が進められている。
 着信者の利便向上を図るサービスとして,不在中にかかってきた電話を前もって指定しておいた電話番号に自動的に転送する自動着信転送サービス,及び一つの電話に対して通常の電話番号(表番号)ともう一つの電話番号(裏番号)の,二つの電話番号を与えておき,かかってくる電話の発信者を選択したいときは,電話機からその旨登録することにより,以後着信に対して表番号の場合は,不在等の案内を電話局のトーキー装置から行い,裏番号の場合のみ着信する2重番号サービスの実用化が進められている。
 住宅用電話サービスの向上として,従来のホームテレホンに加え,1回線に2〜3台の電話機を接続し,転送,秘話等の機能を有する2種類の電話(ホームテレホンF,新親子電話)が商用化され,住宅用電話のシリーズ化が図られた。
 また,送話にマイクロホン,受話にスピーカを使用し,ハンドフリーで通話ができる拡声電話機(スピーカホン)が商用化され,更に,トーンリンガを有し,かつインテリアにマッチしたざん新なデザインの新壁掛電話機の実用化も進められている。
 事業所電話サービスの向上として,100回線以下の加入者を対象として,専任の交換取扱者を必要としない分散形中継台方式のPBX(CP10形PBX)が商用化され,100〜500回線の中容量構内交換機として,各種サービスが提供できる蓄積プログラム制御方式の電子PBXの実用化が進められている。
 また,ボタン電話についても,サービス機能の改善とデザインの一新を図った新形ボタン電話の実用化が進められている。
 小規模店舗や事業所等におけるクレジットカードの信用照会等の業務が顕在化しつつあり,これら需要にこたえる電話端末として,プッシュホンをベースとし,これに磁気カードリーダ,簡易ディスプレイ,簡易印字機能等を付加したデータテレホンの実用化が進められている。
 社会福祉に寄与するものとして,既に商用に供されているシルバーホン「めいりょう」では聴力の特性から聞きとりにくいという難聴者を対象とした骨伝導電話機の実用化が進められている。
 公衆電話については,既に商用化されているボックス形の100円硬貨併用公衆電話機に加え,卓上形の100円硬貨併用公衆電話機が商用化された。
 一方,電話局から遠く離れた比較的需要の少ない過疎地に対して,経済的に電話の充足を可能とする通信方式として,過疎地域用加入者交換方式,ディジタル加入者線多重方式,加入者線搬送方式及びマルチアクセス加入者線無線方式等の実用化が進められており,今後,加入区域の拡大等の地域事情を考慮しながら適用されていく予定である。

 

3 映像通信 に戻る 2 通信網の信頼性向上技術 に進む