昭和54年版 通信白書

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3 国際通信技術

 国際通信の分野においてもディジタル化の情勢にあり,ディジタル伝送方式とアナログ伝送方式とを円滑に接続する必要性が高まってきている。更に,国内網における要求と合致して,PCM・TDM信号とSSB・FDM信号とを多重化レベルでチャンネル対応に直接相互変換するトランスマルチプレクサの研究が各方面で進められている。
 国際電電でも,51年度にプロトタイプの24回線トランスマルチプレクサを試作したが,その経験を基に信号処理時間の短縮及び装置規模の縮小を目的とした研究を進めている。
 一方,トランスマルチプレクサの特性標準化の研究は,CCITT SG XV<3>(ディジタル網関係)において積極的に進められ,既に勧告草案も作成されている。国際電電も,CCITTにおける本課題に対して多大な寄与を行っている。
 また,電信伝送並びに低速のデータ伝送(50〜75ボー)には,これまで音声周波多重装置(VFT)が使用されてきたが,近年,VFTより多くの利点を有する時分割多重方式(TDM)の研究が国際的に行われ,その成果として,1976年秋のCCITT第6回総会において新たにTDMの標準方式としてR101が勧告化された。この勧告にはA及びBの2つの異なる方式が併記されており,A方式は信号速度50ボー,75ボーを主体としたものであり,現在国際的に最も使用実績の多いものである。他方,B方式は50ボーから300ボーまでを対象としたものであり,使用実績は少ないが,信号速度の多様性等の点から,将来A方式よりも普及する可能性をもっている方式と考えられている。
 国際電電では,以上の動向にかんがみ,A,B両方式が扱えるTDM装置の開発試作を行い53年末に対外試験をも含めた一連の開発作業を完了した。なお,本TDM装置を54年度より商用化すべく諸準備を進めている。
 また,テレックス端末については,電子式の国際テレックス加入者端末が開発された。この電子式テレックス端末は印字部に花弁型活字が採用されており,プリント動作の構成要素である活字選択,印字歩進,改行に各々独立のステッピングモータを用い,これをマイクロコンピュータで制御する方式がとられている。
 一方,国際加入者ダイヤル通話サービス(ISD)は,現在電電公社の電子交換機加入者のみが利用可能であるが,このサービスをクロスバ交換機のプッシュホン加入者にも拡大するための準備を進めている。

 

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