昭和54年版 通信白書

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第6節 データ通信システム

1 データ交換網

 データ通信の発達に伴い,データ通信回線として既存の電話網等を利用する比重が高まっているが,データ通信システムが高度化するにつれて,接続品質,伝送品質の制限や通信速度の限界等のため,既存網では満足しえない需要が増加している。
 このため,データ通信に適した新しい公衆網の出現を要望する声が高まっている。
 これに対して電電公社では,時分割交換技術やディジタル伝送技術等,ディジタル技術を駆使し,高速,高品質で多彩なサービスを効率的に提供できるディジタルデータ交換網の実用化が進められている。このディジタルデータ交換網は,44年度から検討が開始され,試作機DDX-1及び現場試験機DDX-2が開発されて機能確認が行われた。
 ディジタルデータ交換網には,回線交換方式とパケット交換方式の二種類の交換網がある。回線交換方式については,東京,横浜,名古屋,大阪に,また,パケット交換方式については,東京,横浜,名古屋,大阪,福岡,仙台,札幌にそれぞれ交換装置を設置して各種試験が行われ両方式ともサービス開始に向けて順調に準備が進められている。
 国際電電においても,パケット交換による国際公衆ディジタルデータ網の建設計画(VENUS)が進められている。
 この準備段階として,国際電電では,51年度のプロトコルマシン実験システムの試作以来,国際公衆データ網に関する各種プロトコルの研究を進めてきた。52年度には,CCITT標準ネットワークプロトコルを採用した国際パケット交換システムの建設に着手した。この「国際加入データ通信サービス計画」として,コンピュータ,又は,インテリジェント端末装置をもつ利用者を対象として,外国とのデータ通信を可能とするR(Real-Time)クラスサービスや自社内,又は,企業グループ内で電文転送する利用者を対象に,メッセージの蓄積交換機能を提供するM(Message Switching)クラスサービス用設備の建設が進められているほか,ファクシミリ等の各種サービスの計画も進められている。
 一方,外国のコンピュータに蓄積されている文献等の情報を我が国の端末から検索することを可能とするための「国際コンピュータアクセスサービス」の計画も進められている。
 このような新しいデータ交換網に関する国際標準化の作業は,CCITT(国際電信電話諮問委員会)において重要,かつ,緊急を要する課題について審議されており,我が国もこの標準化作業に積極的に参加し,研究成果を発表するなどの寄与を行っている。51年には,パケット交換に関する勧告X.25をはじめ,データ交換網に関する重要な勧告が採択されたが,その後も各勧告の整備,新しい勧告の審議等データ交換網の充実に向けて積極的な検討が行われている。

 

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