昭和54年版 通信白書

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5 自動車公衆無線電話方式

 社会活動の広域化,生活様式の高度化,多様化に伴い即時性及び広域性が優れた公衆移動通信サービスの実施を要望する声が高まっており,今後ますます増大するものと推測される。
 このような情勢を背景として電電公社では,44年頃から800MHz帯の周波数を使用する大容量の自動車公衆無線電話方式の研究を開始した。50年10月からは実験局を開設して,首都圏において小ゾーン方式によるサービスエリアの確認試験等の実験を行ってきたが52年に本方式に関する研究,開発をおおむね終了し,実用化への見通しを得るに至った。
 自動車公衆無線電話方式は,自動車公衆無線電話と全国即時網の一般加入電話との間,並びに自動車公衆無線電話相互間をダイヤルにより自動接続が可能であり,かつ通話品質として一般加入電話と同等の明瞭度を目標としている。このシステムによるサービスを全国規模で実施するためには,移動局の自動位置登録及び無線ゾーン通過に伴う通話チャンネルの自動切替え等複雑な制御が必要であり,かつ大容量の移動局が対象となるので,接続制御は,専用の無線チャンネルで行うことが無線回線の使用効率上有利であることから,通話用チャンネルとは別に制御用チャンネル(発信及び着信チャンネルにより構成)を設けて行われる。
 そこで,電電公社は54年度に本サービスの開始を予定しこれに先だち,53年10月,東京都23区内において実験局36局(基地局相当11局,移動局相当14局,試験用11局)を開設し,現在総合動作確認試験,通話品質試験,移動機の送信電力制御効果確認試験並びに安定度及び信頼度試験等各種の実験を実施中である。そのため自動車公衆無線電話の導入に当たり54年2月13日付けで無線設備規則の一部改正を行い自動車公衆無線電話通信を行う無線局の無線設備に関する技術基準が定められた。
 54年度東京23区においてサービスの開始を予定し引き続き55年度には大阪地区と東京周辺都市に,56年度には名古屋地区及び大阪周辺都市等で,更に,以後需要の動向を考慮しつつ逐次全国の主要都市及び主要幹線道路等に拡大されていくことが期待されている。

 

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