 第1部 総論
 第1節 昭和53年度の通信の動向
 第3節 通信と現代文化の今後の潮流
 第2部 各論
 第1章 郵便
 第2節 郵便事業の現状
 第2章 公衆電気通信
 第2節 国内公衆電気通信の現状
 第3節 国際公衆電気通信の現状
 第4節 事業経営状況
 第3章 自営電気通信
 第1節 概況
 第2節 分野別利用状況
 第4章 データ通信
 第2節 データ通信回線の利用状況
 第3節 データ通信システム
 第4節 情報通信事業
 第5章 放送及び有線放送
 第6章 周波数の監理及び無線従事者
 第1節 周波数の監理
 第2節 電波監視等
 第7章 技術及びシステムの研究開発
 第2節 基礎技術
 第3節 宇宙通信システム
 第4節 電磁波有効利用技術
 第6節 データ通信システム
 第8節 その他の技術
 第8章 国際機関及び国際協力
 第1節 国際機関
 第2節 国際協力
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5 船舶通信自動呼出方式(ディジタルセルコール)
海上移動業務におけるMF,HFによる通信の多くは相手局を呼び出すために定時一括呼出方式を採用している。しかし,この方式では一定時刻に移動局の通信士による海岸局からの音声,または,モールス信号による呼出の聴守及び海岸局に対する呼出が必要となる。このため移動局の数が比較的少ない場合は有効であるが,移動局が多い場合は待ち合わせ時間が長くなり,通信の即時性が著しくそこなわれる。また遭難通信等の場合は,遭難中の船舶以外の局の通信士により聴守されることが条件となるため通信士の勤務時間,聴守時間等による制限から,通報が伝達される確率が低くなる場合も考えられる。
そこでCCIR SG8ではこのような欠点がなく,随時呼出が可能で世界的に共通な選択呼出方式の研究が長い間続けられてきた。一方,国際電電は,HF船舶無線電話の利用が近年著しい伸びを示していることから,サービスの向上のための効率的運用を目標に1973年,ディジタル信号による選択呼出方式を導入した新システムの開発に着手した。以来,信号方式,同期方式,タイムダイバーシチ方式等の伝送方式及び実用装量に関して多くの実験,試作及びフィールド試験を実施し貴重な資料を得た。これらの資料はCCIR SG8にその都度報告し,日本,米国,ソ連,オランダ,スウェーデンを中心にした勧告案の作成過程で大きな寄与をした。この結果,詳細な勧告案が完成し,1979年CCIR第14回総会(京都)において採択され,いよいよ実用段階に入った。本方式はディジタル信号を用いているため,呼出の機械化が容易であり,信頼性も高く,マイクロプロセッサ等の新技術の導入により,経済的で機能性の高い選択呼出装置の実現を可能にした。更に,海上移動業務におけるMF,HFおよびVHF通信の即時性を高め,遭難,緊急,安全通信の呼出をより確実なものとする可能性を秘めていることから今後の普及が期待されている。
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