昭和54年版 通信白書

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10 スペクトラム拡散通信方式

 従来から周波数の有効利用を図るために,周波数の割当間隔を縮小する狭帯域通信の開発に努めてきているところであるが,これとは逆に,相互に関係を持たない符号系列を使用することにより,広い周波数帯域を多数の使用者で共用し,それぞれ個々の使用者はあたかも専用に使用しているかのごとく使用できる,いわゆるスペクトラム拡散方式(Spread Spectrum System)による周波数の有効利用の可能性が近年の電子通信技術の向上により裏づけされてきた。
 一方,53年6月京都で開催された国際無線通信諮問委員会第14回総会において,スペクトラム拡散方式を周波数の有効利用の面から研究調査しようとする研究課題と関連の報告が採択されたことから,我が国でもこの方式について積極的に研究しようという機運が盛り上がってきた。
 今後,この方式による電波利用が広がるものと考えられることから,利用開発の問題点を明確にするため,54年3月郵政大臣は,電波技術審議会に対して「スペクトラム拡散方式を用いた電波の利用開発に関する技術的諸問題」について諮問を行った。
 また,衛星を利用しない陸上移動通信を対象とするスペクトラム拡散方式の開発を目標に,その適用可能性の調査を開始した。その結果,陸上移動通信系の電波伝搬特有のフェージングに対し,周波数ホッピング(FH)方式が有利であり,広帯域フェージングシミュレータを含む装置化についての問題点を検討した。

 

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