昭和54年版 通信白書

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第2章 通信と現代文化 -主として,文化としての通信の充足と成熟の道筋と展望-

 我が国が近代国家として新しく踏み出し始めた時期に,国家事業として開始された郵便と電報電話は,我が国の成長と共に発展をとげ,技術の進歩に伴って近代化されてきた。これらの100年に余る歴史をもつ通信手段は,電話の本年3月の全国ダイヤル自動化の完了と,過年の積滞解消とを合わせて,一応その充足と成熟の段階に達した。
 また,ラジオで始まった放送も,戦後の民放の開始,テレビジョン放送の出現,更にはそのカラー化と発展をたどり,国民生活に大きく貢献し,広く普及して,今日ほぼ充足と成熟の域に達したと見ることができる。これらのメディアは,今日,日常の諸活動に密着し,その役割はますます重視されてきている。
 一方,近年のエレクトロニクス等の技術の進歩は,通信衛星の出現に見られるとおり通信の革命的進歩をもたらしているとともに,多種多様なメディアの発展の胎動を促し,新しい情報通信の時代の幕開けを示している。このため,今後,より一層通信が現代文化に果たす役割を認識し,これらに対応していくことが必要になろう。
 我が国が,世界の中の孤島から,郵便,電気通信を通じて世界への窓を開いてから,郵便については100余年,電気通信については,本年はちょうどITU(国際電気通信連合)加盟100年に当たる。
 通信の状況は,一国の文化水準を表すものともいえるが,この章では,以上のような事柄を契機に,一つの文化現象として,既存メディアの今日までの充足と成熟の道筋をたどり,現在の状況を把握し,更に今後の通信を展望し,新たなる文化の創造のよすがとしようとするものである。

 

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