平成14年版 情報通信白書

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第1章 特集 IT活用型社会の胎動

はじめに

 IT(情報通信技術)革命への対応について、政府は、「e−Japan戦略」(平成13年1月22日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部策定)をはじめとする戦略的な取組の結果、情報通信サービスの国民各層への浸透やブロードバンド等の情報通信インフラの整備等が急速に進んでいる。

 他方、いわゆる「ネットバブル」崩壊を契機として、「IT不況」など経済不振の原因をITに求めたり、ひいてはIT革命への取組自体をブームは終わったとして軽視する風潮が一部あった。また、取組に積極的な推進者においても、IT自体を自己目的化してしまう向きもなかったとはいえない。

 このような中、今こそ、原点に戻って、ITとは何か、ITによって何を達成しようとしているのかを再確認することが必要であろう。ITは、我々の生活や社会、ひいては思考様式まで多大な影響を与えるが、IT自体は技術である。もちろん、技術自体が目的になることはないし、技術に人間や社会の在り方を決めさせてはならない。我々が主体的にITの目的を決め、その目的をITを使って達成していくこと、すなわちITの「活用」が重要である。

 IT活用の目的は何か。「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(以下、「IT基本法」という。平成13年1月施行)に照らせば、経済面では「経済構造改革の推進と産業国際競争力の強化」(第4条)、国民生活面では「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現」(第5条)、行政面では「国民の利便性の向上」、「行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上」(第20条)ということになる。ITの活用とは、ITを利用した結果、これらの目的が十二分に達成されることといえるであろう。

 我々は、「21世紀を形作る最強の力の一つ」(平成13年7月九州・沖縄サミット「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」)とされるITをこれらの目的達成のため、十分に活用しているといえるであろうか。ブームが終わったといえるような段階ではなく、ようやく本格的な活用が始まったという段階ではないだろうか。

 このような問題意識から、今回の情報通信白書では、「IT活用型社会の胎動」を特集としてとりあげ、ビジネス、行政、生活の各分野におけるIT活用の進展状況と、IT活用が進展していくための横断的課題となる魅力的なコンテンツの流通、情報セキュリティの確保、新規サービスと技術開発の推進について、分析を行った。

 

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