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第2部 情報通信分野の現状と課題
第2節 電気通信事業政策の動向

(3) 通信の秘密・利用者情報の保護

ア 概要

スマートフォンやIoT などを通じて、様々なヒト・モノ・組織がインターネットにつながり、大量のデジタルデータの生成・集積が飛躍的に進展するとともに、AI によるデータ解析などを駆使した結果が現実社会にフィードバックされ、様々な社会的課題を解決するSociety 5.0 の実現が指向されている。

この中で、様々なサービスを無料で提供するプラットフォーム事業者の存在感が高まっており、利用者情報が取得・集積される傾向が強まっている。また、生活のために必要なサービスがスマートフォンなど経由でプラットフォーム事業者により提供され、人々の日常生活におけるプラットフォーム事業者の重要性が高まる中で、より機微性の高い情報についても取得・蓄積されるようになってきている。

利用者の利便性と通信の秘密やプライバシー保護とのバランスを確保し、プラットフォーム機能が十分に発揮されるようにするためにも、プラットフォーム事業者がサービスの魅力を高め、利用者が安心してサービスが利用できるよう、利用者情報の適切な取扱いを確保していくことが重要である。

イ 「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ」での検討等

総務省で開催する「プラットフォームサービスに関する研究会」で、「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ」を設置して議論を行った結果を踏まえて取りまとめられた「中間とりまとめ」(2021年(令和3年)9月)では、電気通信事業法などにおける規律の内容・範囲などについて、e プライバシー規則(案)の議論も参考にしつつ、cookie や位置情報などを含む利用者情報の取扱いについて具体的な制度化に向けた検討を進めることが適当であると考えられるとともに、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成29年総務省告示第152号)について、電気通信事業を営む事業者が利用者情報に係る通信の秘密や個人情報・プライバシー上の適正な取扱いを行う観点から一元的に参照することができる文書として取りまとめていくことが望ましいという方向性が示された。

また、デジタル市場競争会議が2021年(令和3年)4月に公表した「デジタル広告市場の競争評価 最終報告」における「課題⑩」[パーソナル・データ]パーソナル・データの取得・利用に係る懸念については、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの見直しなどにより対応することとされている。

ウ 利用者に関する情報の外部送信に係る規律等の創設

中間とりまとめの方向性を踏まえ、電気通信事業者が利用者に電気通信サービスを提供する際に、情報を外部送信する指令を与える電気通信を送信する場合に利用者に通知・公表といった確認の機会を付与することの義務付けなどを内容とする電気通信事業法の一部を改正する法律案が2022年(令和4年)3月に国会に提出され、同年6月に成立した。総務省では、今後、その円滑な施行に向けた検討を進めていくこととしている。

エ 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの見直し

総務省では、中間とりまとめなどを踏まえ、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインについて、令和2年・3年個人情報保護法改正法9の施行に合わせ、2022年(令和4年)3月に、個人情報保護委員会ガイドラインの見直しに対応した改正を行うとともに、利用者情報の適正な確保に向けた改正を行った。改正後のガイドラインに基づき、プラットフォームサービス事業者などによる対応状況に係るモニタリングを定期的に行い、利用者情報の適正な取扱いの確保に関する検討を引き続き進めていくこととしている。



9 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(令和2年法律第44号)及びデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)第50条による個人情報の保護に関する法律の改正に係る部分

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