第2部 情報通信分野の現状と課題
第7節 ICT技術政策の推進

4 AI技術

AIは、近年、深層学習(ディープラーニング)による機械学習技術に代表されるように加速度的に発展しており、世界の至る所でその応用が進み、広範な産業領域や社会インフラなどにも大きな影響を与えるなど社会の根本機能維持のための必須技術となっている。

総務省では、「AI戦略2022」(令和4年4月統合イノベーション戦略推進会議決定)等を踏まえ、AI関連中核センター群とされるNICTと連携し、自然言語処理技術や多言語翻訳・音声処理技術、脳の認知モデル構築などに関する研究開発や社会実装に幅広く取り組んでいる。

例えば、総務省では、NICTとともに、世界の「言葉の壁」を解消し、グローバルで自由な交流を実現するための多言語翻訳技術の研究開発に取り組んでおり、NICTが開発する多言語翻訳技術では、最新のAI技術を活用することにより、訪日・在留外国人への対応を想定した12言語について実用レベルの翻訳精度を実現している。また、総務省及びNICTでは、多言語翻訳技術の社会実装も推進しており、NICTでは個人旅行者を想定した研究用アプリとして「VoiceTra(ボイストラ)」を提供しているほか、技術移転を通じて30を超える民間サービスが展開1され、官公庁のほか防災・交通・医療などの幅広い分野で活用されている。

【関連データ】

多言語翻訳技術

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf407000.html別ウィンドウで開きます(データ集)

2025年(令和7年)の大阪・関西万博も見据え、NICTの多言語翻訳技術の更なる高度化のため、総務省は、2020年(令和2年)3月に「グローバルコミュニケーション計画2025」を策定した。総務省では、同計画に基づいて、NICTに世界最先端かつトップレベルのAI研究開発を実施するための計算機環境を整備するとともに、従来は短文の逐次翻訳にとどまっていた技術を、ビジネスや国際会議における議論の場面にも対応した「同時通訳」が実現できるよう高度化するための研究開発を2020年度(令和2年度)から実施している。

【関連データ】

多言語翻訳技術の更なる高度化に向けた取組

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf407000.html別ウィンドウで開きます(データ集)

また、対応言語についても、多言語同時通訳に関する研究開発と合わせて訪日・在留外国人、外交への対応等を念頭に8言語を追加する予定としている。



1 グローバルコミュニケーション開発推進協議会 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の多言語翻訳技術を活用した民間企業の製品・サービス事例:https://gcp.nict.go.jp/news/products_and_services_GCP.pdfPDF

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