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第2部 情報通信分野の現状と課題
第3節 電波政策の動向

4 先進的な電波利用システムの推進

(1) 高度道路交通システム

情報通信技術を用いて「人」や、「道路」、「車」などをつなぐITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、交通事故削減や渋滞解消などにより、人やモノの安全で快適な移動の実現に寄与するものである。ITS・自動運転の実現には多量かつリアルタイムのデータ転送や交換が必要になると見込まれるため、情報通信インフラの整備が不可欠であり、また、自動運転、コネクテッドカーのニーズなどに対応するためには、既存のITSの活用だけではなく、5Gをはじめとする情報通信インフラの高度化も必要であり、LTEや5Gを活用した自動運転システムの実現に向けた研究・実証が各国で行われている。

2021年(令和3年)6月にIT戦略本部で策定された「官民ITS構想・ロードマップ これまでの取組と今後のITS構想の基本的考え方1」では、「新たなモビリティ社会の実現に向けたデジタルプラットフォームの構築」、「自動運転などの一層の進展」及び「多様なモビリティの普及・活用」を重点取組と位置づけ、「技術開発」、「交通インフラ整備とコネクテッド実装」などの五つの観点から具体的な施策を推進することとされている(図表4-3-4-1)。また、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の事業である戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、一般道に設置される交通インフラからの信号情報や高速道路への合流支援情報などを活用する、インフラ協調型の自動運転技術による安全で快適な自動運転社会の実現を目指している。

図表4-3-4-1 今後のITS構想の基本的考え方
(出典)高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議
「官民ITS構想・ロードマップ これまでの取組と今後のITS構想の基本的考え方」より抜粋

総務省では、これまで、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)やETC(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)、76/79GHz帯車載レーダーシステム、700MHz帯高度道路交通システムなどで利用される周波数の割当てや技術基準などの策定を行うとともに、これらシステムの普及促進を図ってきた。

「官民ITS構想・ロードマップ これまでの取組と今後のITS構想の基本的考え方」等を踏まえ、5Gの普及・展開に向けた取組を進めているほか、V2X2用周波数として国際的にも検討が進められている5.9GHz帯に新たなV2Xシステムを導入する場合に必要となる周波数共用などに係る技術的検討を実施するなど、自動運転社会の実現に向けて取り組んでいる。また、自動運転に通信が必要なユースケースにおいて通信に求められる要求条件の技術的な検討やその通信の実現時期や自動運転車普及率など踏まえた情報通信技術ロードマップ案を策定するための検討を行うとともに、安心・安全な自動運転の実現に向け、周辺の交通状況を俯瞰的に把握できるよう、様々な情報源から得られる動的情報を連続的かつ正しく認知し、狭域又は中域といった対象エリアの広さに応じ、必要な情報を収集してリアルタイムに統合し、自動車に配信する技術の研究開発を実施している。



1 官民ITS構想・ロードマップ これまでの取組と今後のITS構想の基本的考え方:https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/its_roadmap_20210615.pdfPDF

2 V2X:vehicle to everythingを意味する。自動車と自動車(V2V:車車間通信)や、自動車とネットワーク(V2N)など、自動車と様々なモノの間の通信形態の総称。

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