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第2部 情報通信分野の現状と課題
第7節 ICT技術政策の推進

(2) 量子暗号通信技術に関する研究開発

現代暗号の安全性の破綻が懸念されている量子コンピューター時代においては、いかなる計算機でも原理的に解読不可能な量子暗号が必要とされている。総務省では、NICTと連携し、量子暗号通信技術(量子鍵配送技術)の研究開発を推進するとともに、政府全体の戦略を踏まえ、量子セキュリティ・ネットワークに関する技術分野について、量子技術イノベーション戦略に基づく拠点として「量子セキュリティ拠点」を2021年度(令和3年度)にNICTに整備し、テストベッドの構築・活用などを通じた社会実装の推進、人材育成などに幅広く取り組んでいる。

ア 量子暗号通信の長距離化・ネットワーク化の研究開発

量子暗号通信の社会実装を実現するためには、通信距離の長距離化が大きな課題の一つとなっている。そこで、総務省では、長距離化の課題を克服し、グローバル規模での量子暗号通信網の実現を目指し、2020年度(令和2年度)から、地上系を対象とした量子暗号通信の長距離リンク技術及び中継技術の研究開発に取り組んでいる。また、安全な衛星通信ネットワークの構築に向け、2018年度(平成30年度)から、量子暗号通信を超小型衛星に活用するための研究開発に取り組んでいる。さらに、2021年度(令和3年度)から、地上系及び衛星系ネットワークを統合したグローバル規模の量子暗号通信網構築に向けた研究開発を開始している。

イ 量子暗号通信のテストベッド整備と社会実装の推進

我が国では、NICTが早期より量子暗号通信の要素技術の研究開発に取り組んでおり、量子暗号通信の原理検証を目的として、2010年(平成22年)に量子暗号通信テストベッド「東京QKDネットワーク」を構築し、長期運用を行っている。東京QKDネットワークの長期運用実績に基づき策定された量子暗号通信機器の基本仕様は、2020年(令和2年)に国際標準(ITU-T Y.3800シリーズ)として採用されており、国際的にも高い競争力を有している。

また、量子暗号通信は、機微情報を取り扱う公的機関での利活用に加え、金融・医療などの商用サービスへの展開も期待されており、早期の実用化が強く求められている。そこで、総務省では、2021年度(令和3年度)から、実環境での利用検証を通じた社会実装の加速化を目的として、複数拠点間を接続した構成で経路制御などのネットワーク構成実証を実施可能な量子暗号通信の広域テストベッドの整備に取り組んでいる。

【関連データ】

グローバル規模の量子暗号通信網のイメージ

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf407000.html別ウィンドウで開きます(データ集)

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