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第2部 情報通信分野の現状と課題
第6節 ICT利活用の推進

(2) 今後の課題と方向性

我が国は、新型コロナウイルスの感染症の感染拡大以前から少子高齢化などの深刻な社会課題を抱えており、生産性を向上させ、経済再生を図るにはデジタルを最大限に活用することが必要不可欠と言われてきた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が長引く中で、社会全体におけるICTの利活用の推進はますます重要となっている。

ICTを活用することで、単純業務や定型業務を機械が代替することやより付加価値の高いサービスを生み出すことが可能となり、企業活動の生産性を高めることが期待される。特に、中小企業をはじめ、十分な労働力の確保に苦しんでいた企業の成長に貢献すると考えられる。

また、企業によるICTの利活用により、情報銀行などの新たなビジネスモデルの創出が可能となるほか、キャッシュレス決済やクラウドサービスの推進が進むことで企業と国民の両方が便益を享受することができ、我が国の経済活性化につながることが期待される。さらに、企業などでのAIの活用により我が国の経済や社会に多大な便益を広範にもたらすことが期待されており、安心・安全で信頼性のあるAIの社会実装が求められている。

また、第3章第8節でみたとおり、全体的にはICTの利活用が進展している一方で、年齢や地理的条件などによってインターネット利用率に一定の差異が見られるところである。今後、「誰一人取り残さない」デジタル化を実現するために、高齢者を含む国民のデジタル化への不安感・抵抗感を解消し、デジタル活用能力の向上に向けた取組を進めるなど、年齢的・地理的条件などによるデジタル格差を是正することが必要である。

近年のスマートフォンの急速な普及に伴い、多くの青少年がSNSやオンラインゲームなどのいわゆるソーシャルメディアを利用するようになっている。スマートフォンやSNSなどの利用によるリスクとその対応策を理解した上でそれらを安心・安全に利用することができるよう、青少年及び保護者、学校などの関係者含む社会全体のメディア情報リテラシー2の向上を図ることが非常に重要となっている。



2 UNESCOにより提唱された、メディアリテラシーと情報リテラシーを統合した概念であり、ニュースリテラシーやデジタルリテラシーなど他の様々な関連するリテラシーの概念を包含する。個人的、職業的、社会的な活動に参加し従事するために、批判的、倫理的、そして効果的な方法で、市民が、さまざまな道具を使いながら、あらゆるフォーマットの情報やメディアコンテンツを共有するだけではなく創造することができ、アクセスし、探索し、理解し、評価し、活用することができるようになるための一連の能力を表す。

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