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第2部 情報通信分野の現状と課題
第6節 ICT利活用の推進

(5) 青少年のメディア情報リテラシーの向上

ア 普及・啓発活動の実施

総務省では、ICT活用の在り方について高校生が自ら考え、他者の意見を聴き、議論し、意見をまとめ、発表することにより、青少年のインターネット社会に臨む環境整備の一助になることを目指す「高校生ICTカンファレンス」に協力している。また、青少年のインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的とした出前講座である「e−ネットキャラバン」の実施や「インターネットトラブル事例集」の作成について取り組んでいる。

さらに、放送分野では、これまでに開発した小・中学生及び高校生向け学習用教材の貸出しを中心とした普及・啓発を行っているほか、「放送分野におけるメディアリテラシーサイト」を開設し、ウェブ教材や教育者向けの授業実践パッケージ(指導案、授業レポート、ワークシートなど)を開発・掲載するなど、青少年のメディアリテラシーの向上に取り組んでいる。

イ 青少年のインターネットリテラシーを可視化するテストの実施

総務省では、2011年度(平成23年度)に青少年のインターネットリテラシーを可視化するテストとして「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標(ILAS:Internet Literacy Assessment indicator for Students)」を開発し、2012年度(平成24年度)より毎年度、全国の高等学校1年生相当を対象にスマートフォンなど情報通信機器の使用実態に関するアンケートと併せて青少年のインターネットリテラシーを測るテストを実施している。

ウ 地域ICTクラブの普及促進

総務省では、地域で子供たちがプログラミングなどのICT活用スキルを学ぶ機会を提供するとともに、地域課題をテーマ設定するなどして、地域人材の育成にも資するものである「地域ICTクラブ」の普及促進に取り組んでいる。具体的には、これまでの実証事業(2018年度(平成30年度)・2019年度(令和元年度))を通じて全国各地で取り組まれた活動などについてホームページにまとめて情報提供などを行うとともに、「地域ICTクラブ」実施団体からなる全国ネットワークの構築などにより「地域ICTクラブ」の一層の普及促進に向けて取り組んでいる。

コラムCOLUMN 3
高齢者等に向けたデジタル活用支援の推進

1 高齢者におけるデジタルディバイドの現状

2021年(令和3年)12月24日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、「誰一人取り残されない」デジタル社会の実現を目指すことが示されている。翻って、2021年(令和3年)1月に公表された内閣府の世論調査では、60歳代の25.7%、70歳代以上の57.8%がスマートフォンなどの情報通信機器を利用できていないという結果が出ており、年齢が上がるにつれてスマートフォンなどの情報通信機器を利用できていないことがわかる(図表1)。

図表1 高齢者におけるデジタルディバイドの現状
(出典)内閣府(2021)「情報通信機器の利活用に関する世論調査」7を基に作成

2 「デジタル活用支援推進事業」とは

総務省では、一人ひとりがデジタル活用の恩恵を受け、活き活きとより豊かな生活を送ることができるよう、「デジタル活用支援推進事業」に取り組んでいる。デジタル活用支援推進事業は、高齢者を中心とするデジタル活用に不安のある方々の解消に向けて、オンラインによる行政手続などのスマートフォンの利用方法に関する講習会を全国的に実施する取組であり、2021年(令和3年)6月から全国で本格的に実施し、民間企業や地方公共団体などと連携して取り組んでいる。

講習会は、総務省が指定する研修を修了した講師によって行われ、受講者の年齢を制限したり、受講料を徴収したりすることはなく、誰でも、何度でも受講することができる。講習会を実施する団体には、全国に拠点を有する携帯電話ショップを想定している全国展開型と、地域のICT企業や社会福祉協議会、シルバー人材センターなど地方公共団体と連携し地域に根差した団体を想定している地域連携型の2つの類型があり、2021年度(令和3年度)は、全国展開型で2,143箇所、地域連携型で198箇所が採択された。この採択箇所数は当初の総務省の想定を大きく上回るものであり、全国的にも関心が高いことがわかった。類型によって、実施できる講習会の講座メニューは異なり、地域連携型はスマートフォンの電源の入れ方やインターネットの使い方など、スマートフォンの操作の仕方を含めた「基本講座」、マイナンバーカードの申請やオンライン行政手続など一歩踏み込んだ「応用講座」を実施することができるが、全国展開型は「応用講座」に限られる。また、デジタル活用支援推進事業のポータルサイトでは、教材や動画を掲載しており、受講者は講習会に参加した後でも、自宅で復習することができる。受講者が講習会をきっかけとして、繰り返しスマートフォンの操作などを行うことで、スマートフォンの利活用の定着を促していきたいと考えている。

3 「デジタル活用支援推進事業」の今後の展望

デジタル活用支援推進事業は、2021年度(令和3年度)から2025年度(令和7年度)までの5年間、集中的に実施することを計画しているが、ますます広がりつつあるデジタル格差を解消するためにも、本事業の取組を質的・量的に拡大し、世の中のニーズを踏まえて発展させていくことが必要だと考えている。そのため、2022年度(令和4年度)については、講習会の実施箇所数を約3,000箇所に大幅に拡充する予定である(図表2)。また、全国的には、携帯電話ショップが存在しない地域が750市町村8あることから、そのような地域の方々にも支援が行き届くよう、講師の方々を現地に派遣するという新たな取組も開始する予定である。

図表2 デジタル活用支援推進事業の全体像


7 https://survey.gov-online.go.jp/hutai/r02/r02-it_kiki.html別ウィンドウで開きます

8 2021年(令和3年)11月10日集計

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