6　電波利用環境の整備

（1）　生体電磁環境対策の推進

総務省では、安全かつ安心して電波を利用できる環境を整備するための取組を推進している。

電波の人体への影響については、電波防護指針3をもとに、電波法令により電波の強さなどに関する安全基準を定めている。その内容は、国際的なガイドラインとの同等性が担保されているとともに、電波の安全性に関する長年の調査結果4が反映されており、これまでの調査・研究では、この安全基準を下回るレベルの電波と健康への影響との因果関係は、確認されていない。総務省では、5Gをはじめとする携帯電話などで使用される電波の安全性について、電話相談、説明会の開催やリーフレットの作成などを通じて国民への周知啓発を行っている5。

電波の医療機器への影響に関しては、「電波の医療機器などへの影響に関する調査6」を毎年行っており、2021年度（令和3年度）は、5Gの携帯電話端末などからの電波（3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯）を対象として、電波が植込み型心臓ペースメーカ及び在宅医療機器などに及ぼす影響測定を行った。また、医療機関での電波利用が進む中で、安心・安全な電波利用に向けて、医用テレメータ、携帯電話、無線LANなどの注意点や電波管理の在り方について、各地での説明会を開催し、医療従事者などへの周知活動を行っている。さらに、これらに関連した取組として、2017年度（平成29年度）から「無線システム普及支援事業費など補助金」による電波遮へい対策の対象として医療施設を加え、医療施設において携帯電話が安心安全に利用できる環境の整備を実施している（図表4-3-6-1）。

図表4-3-6-1　医療機関における電波遮へい対策事業のスキーム図

3　電波防護指針：https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/protect/

4　総務省における電波の安全性に関する研究：https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/seitai/index.htm

5　電波利用ホームページ（電波の安全性に関する調査及び評価技術）：https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/index.htm

6　電波の植込み型医療機器などへの影響の調査研究：https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/seitai/chis/index.htm

第3節　電波政策の動向（PDFファイル（2.01MB））