第2部 情報通信分野の現状と課題
第3節 電波政策の動向

(2) Beyond 5G

5Gの次の世代である「Beyond 5G」は、5Gの特徴的機能の更なる高度化として、①10倍高速な通信速度、②1/10の低遅延、③10倍の多数同時接続を実現することに加え、新たな価値の創造に資する機能として、④1/100の「超低消費電力」、⑤障害からの瞬時復旧など「超安全・信頼性」、⑥即座に最適なネットワークが構築される「自律性」、⑦陸海空宇宙あらゆる場所で通信できる「拡張性」が求められている。Beyond 5Gは、2030年(令和12年)頃の導入が見込まれており、Society 5.0を進展させるために不可欠な、また、ウィズコロナ・ポストコロナ下の「新しい日常」を支える強靱かつセキュアな未来の基幹ICTインフラであることから、その技術開発や国際標準策定プロセスに、我が国が強みを最大限に活用して深く関与することが重要である。

総務省では、2020年(令和2年)1月から「Beyond 5G推進戦略懇談会」を開催し、Beyond 5G導入時に見込まれるニーズや技術進歩などを踏まえた総合戦略の策定に向けた検討を行い、同年6月に、次の3つの戦略からなる「Beyond 5G推進戦略−6Gへのロードマップ−」を公表した。この戦略に基づき、Beyond 5Gの実現に向けた様々な取組が行われている。

① 先端技術への集中投資と大胆な電波開放などによる世界最高レベルの研究開発環境を実現し、競争力のある形での先端技術の実装を目指す「研究開発戦略」

② 市場参入機会の創出などに向け、早期に戦略的パートナーとの連携体制を構築するとともに、Beyond 5Gの必須特許について世界トップシェアと同水準の獲得実現を目指す「知財・標準化戦略」

③ 5G・光ファイバ網の社会全体への展開と課題解決に資するユースケースの構築及び拡大に必要な環境及び制度整備などによりBeyond 5G readyな環境の実現を目指す「展開戦略」

例えば、2020年(令和2年)12月には、本戦略を産学官の連携により推進するための母体として「Beyond 5G推進コンソーシアム」が設立され、我が国が考えるBeyond 5Gの将来像や技術について取りまとめた「Beyond 5Gホワイトペーパー」を2022年(令和4年)3月に公表し、国内外の関係者間の連携強化を目的とする「Beyond 5G国際カンファレンス」を2021年(令和3年)11月に開催するなど、活発に活動している。また、同じ2020年(令和2年)12月には、知財の取得や国際標準化に向けた取組を戦略的に推進する「Beyond 5G 新経営戦略センター」をが設立され、第4章第7節に記載のとおり、新ビジネス戦略セミナーなどを通じた情報発信を行うなど、活発に活動している。

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