ここでは、地球規模でICTがいかに浸透しているかを見てみたい。
図表1-1-1-1は2000年時点と2012年時点の携帯電話普及状況を世界地図で示したものである。2000年時点では、日本、韓国やヨーロッパの一部の国では普及率が75%を超えているものの、北米やオーストラリアでも50%に達しておらず、ましてや、途上国では25%にも達していない状況である。
他方、2012年時点の地図を見ると、地図の様相は一変している。携帯電話の普及率では、先進国はもとより、多くの途上国でも普及率は75%を超えており、先進国・途上国を問わず、世界的に普及が進んでいることが見て取れる。
インターネットの普及状況でも、同様の傾向が見られ、ICTがこの10年あまりで地球的規模で急速に浸透したことが分かる。
2005年には全世界で10.2億人だった世界のインターネットユーザーは増加を続け、2014年時点で29.2億人に達しており(図表1-1-1-2)、米国通信機器ベンダーCiscoによると、今後もインターネット人口は増加し、2025年には55億人に達すると見込まれている2。
このインターネットユーザーの増加は全地球的な現象であり、特に近年は中低所得国の伸びが大きく、全ユーザーの約半数が中低所得国居住者で占められるに至っている(図表1-1-1-3)。
また、世界全体の携帯電話契約数については、スウェーデン通信ベンダーEricsson社の調査によると、2013年時点で67億加入であり、2019年時点で93億加入に達すると見込まれている。LTEも26億加入が見込まれ、より高速の携帯電話が普及するとみられる(図表1-1-1-4)。
インターネットと同様に、このような携帯電話の急速な浸透は、全地球規模で起こっており、その結果、携帯電話契約数では6割以上が、中低所得国居住者で占められるに至っている(図表1-1-1-5)。
モバイルインターネットの基盤となるスマートフォンについても普及が進んでおり、2014年1月の米調査会社IDCの発表によると、2013年における世界出荷台数は前年比38.4%増の10億420万台で、年間出荷台数が初めて10億台を超えるとともに、同年の携帯電話全体に占めるスマートフォンの割合が通年で初めて5割を超えた。この出荷拡大の主な要因の一つとして、特に中国やインドなどの新興国での150ドル以下の低価格帯のスマートフォンへのシフトが挙げられている3。
このような出荷台数の増加により、スマートフォンユーザー数も増加しており、米調査会社のeMarketerによると4、スマートフォンユーザー数は2014年に17.5億人、全携帯電話利用者の38.5%を占め、今後も増加を続け、2017年には25億人に達し、全携帯ユーザーの48.8%に達するとしている(図表1-1-1-6)。
これらを背景に、SNSの普及も広がっており、同社によると、全世界のSNSユーザー数は、2014年に18.2億人になり、今後2017年までに23.3億人になると推計されている5。代表的なSNSであるTwitterとFacebookのユーザー数も着実に増加を続けている(図表1-1-1-7、図表1-1-1-8)。
2 http://newsroom.cisco.com/dlls/2010/ekits/Evolving_Internet_GBN_Cisco_2010_Aug_rev2.pdf
3 http://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS24645514
4 http://www.emarketer.com/Article/Smartphone-Users-Worldwide-Will-Total-175-Billion-2014/1010536