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第2部 情報通信の現況・政策の動向
第6節 研究開発の推進

(2) 未来ICT基盤技術

総務省及びNICTでは、通信ネットワークの大容量化や安全性向上を目指し、新しい原理や機能を応用したICT基盤技術について、次のとおり研究開発を実施している。

ア 超高周波ICT技術に関する研究開発

総務省及びNICTでは、ミリ波、テラヘルツ波等の未開拓の超高周波帯を用いて、新しい超高速無線通信方式の基盤技術や、社会インフラの劣化診断等のためのセンシングシステムの研究開発を実施している。平成25年度は、超高周波基盤技術について、通信波長帯半導体レーザを用いた変調器ベースパルス光源のブロードバンド化を目指し、パルス幅280fs(1fs=1千兆分の1秒)、ピークパワー2.5kWの高強度・超短光パルス発生に成功した。また窒化ガリウム系トランジスタにおいて従来比約1.5倍の相互コンダクタンスの増加を実現した。テラヘルツ波帯を用いた分光測定結果の妥当性確認法を確立するために行った国内ラウンドロビンテストの解析結果をもとに、テラヘルツ波帯分光器のユーザーガイドを作成した。また、センシング技術について、超高周波電磁波により建造物の劣化状況を診断する非破壊センサーを開発した。

イ 量子ICT技術に関する研究開発

NICTでは、計算機では解読不可能な量子暗号技術や、微弱な光信号から情報を取り出す量子信号処理技術の研究開発を実施している。平成25年度は、量子暗号技術について、装置の長期安定動作化に向けて、気象条件等の外部環境が装置の動作特性変化に及ぼす影響を詳細に分析し、動作が不安定化する主要因の解明に成功した。また、量子信号処理技術については、通信波長帯での光空間通信用量子受信システムの設計を完了し、フィールド実験に向けた実験系の構築を開始した。

ウ ナノICT技術に関する研究開発

NICTでは、ナノメートルサイズの微細構造技術と新規材料により、光子検出器や光変調・スイッチングデバイス等の性能を向上させる研究開発を実施している。平成25年度は、有機ナノICT基盤技術について、光変調器の高速・低消費電力化と小型化に資する有機電気光学ポリマーの熱安定性の改善を行うとともに、Siフォトニック結晶のスローライト効果を利用した超小型光変調器を試作し基本動作確認を行った。また、超伝導ICT基盤技術について、ダブルサイドキャビティ構造の作製により超伝導単一光子検出器のシステム検出効率を80%へ向上させるとともに、4素子アレイ化による4倍の高速化を確認した。

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