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第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 我が国ICT産業の国際競争力強化に向けた方向性

(2) インフラ市場における我が国のポジション

インフラ分野では我が国個別の製品や要素技術はトップ水準のものが多いものの、インフラ市場における我が国のポジションは国際競争が厳しい背景もあり、2012年の海外受注実績の世界シェアでは近隣であるアジア地域においても141億ドルで全体の10.2%に留まるなど、欧米や中国、韓国等の競合企業のシェアが大きい現状にある(図表2-3-3-3)。

図表2-3-3-3 世界におけるインフラ市場(地域別シェア:2012年)
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
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また、これまでの企業国籍別のシェア推移を見てみると、欧米及び日本が徐々に比率を下げるなか、韓国や中国企業がシェアを徐々に伸ばしており、2012年においては我が国が4.1%と横ばい傾向のなか、中国及び韓国企業は合わせて2割を超える規模になっている(図表2-3-3-4)。

図表2-3-3-4 世界におけるインフラ市場(企業国籍別シェア推移)
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
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インフラ産業の輸出は、我が国企業による単なる「機器」の輸出のみならず、それを支えるインフラの設計、建設、運営、管理を含む「システム」としての受注や、現地での事業投資の拡大など、我が国企業の多様なビジネスを展開させていくことも重要である。さらに、進出先国において日本企業の進出拠点整備やサプライチェーン強化につなげることは、現地の販売市場の獲得にも結びつくため、インフラ受注そのものに加えて、複合的な効果を生み出すことが期待される。

前述のアンケートにおいても「日本のICT産業が今後海外に対してアピールしていくべきもの」を聞いてみたところ、「高い技術力・製品力」、「高い品質」、「製品・サービスの安全性・安定性」、「ブランド力(ジャパン・ブランド)」が高い支持を集める結果となっている(図表2-3-3-5)。

図表2-3-3-5 我が国ICT産業がアピールすべき要素
(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」(平成26年)
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これらを踏まえても我が国の持続的な成長を生み出すためには、成長戦略・国際展開戦略の一環として、日本の強みのある高い技術や品質等を最大限に活かすことが重要であると考えられ、世界で拡大が続くインフラ需要を積極的に取り込むことにより、我が国の力強い経済成長につなげていくことが期待される。また、我が国の先進的な技術・ノウハウ・制度等の新興国等への移転を通じ、相手国の人々のライフスタイルを豊かにするとともに、環境、防災等の地球規模の課題解決に貢献し、我が国のソフトパワー12の強化及び外交的地位の向上等にも寄与するところである。

他方で、新興国等におけるインフラ開発は、一般に初期投資の規模が膨大であり投資回収には長期間を要し、事業リスクが高く、また現地政府の影響力が強いことも指摘されており、日本側も政府が民間企業と連携して官民一体となった取組を推進していく必要がある。



12 軍事力や経済力などではなく、その国の文化や政治等の魅力によって外交面で支持や信頼等を獲得する力

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