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第2部 情報通信の現況・政策の動向
第2節 情報通信政策の展開

3 電波政策の展開

(1) 電波政策概況

ア 電波の有効利用の推進
(ア)電波の有効利用の促進に関する検討

我が国では、現在、1億5千万局以上の無線局が免許を受けて開設され、さらに多くの免許不要局(登録局、無線LAN等の小電力無線局、発射する電波が微弱な無線局等)が開設されている。電波利用技術は高度化し、スマートフォンを含む無線通信ネットワークは国民の日常生活や社会経済活動の最も重要な基盤を構築するまでに至っている。また、高齢化等によって社会構造も変化しており、スマートシティ、スマートメーター等のM2M通信等、電波利用の新たなニーズが高まっている。

このような状況を踏まえ、総務省では、電波ひっ迫解消のための政策の抜本的な見直し、世界最先端のワイヤレス(モバイル)立国の実現・維持を図るべく、新しい電波利用の姿等についてより具体的に議論を行うことを目的として、平成26年1月から「電波政策ビジョン懇談会24」を開催し、①新しい電波利用の姿、②新しい電波利用の実現に向けた新たな目標設定と実現方策、③電波利用を支える産業の在り方について検討を行っており、同年7月に「中間とりまとめ」が公表される予定である。また、「最終とりまとめ」は同年12月に行われる予定である。

(イ)電波利用料の見直し等

電波利用料制度は、電波監視等の電波の適正な利用の確保に関し、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の費用(電波利用共益費用)を、受益者である無線局の免許人等に公平に負担を求める制度であり、平成5年の制度導入以来、少なくとも3年ごとの見直しを行っている。

総務省は、昨今の無線通信システムの急速な普及や新しい電波利用の急速な拡大、さらには我が国の電波ビジネスの一層の活性化や国際競争力の強化の必要性等を踏まえ、次期(平成26年度から平成28年度まで)の電波利用料について検討するため、平成25年3月から「電波利用料の見直しに関する検討会」を開催し、①次期電波利用料の歳出規模の考え方、②電波利用料額の見直しの基本方針等について検討し、同年8月に報告書「電波利用料の見直しに関する基本方針」を取りまとめた(図表6-2-3-1)。

図表6-2-3-1 「電波利用料の見直しに関する検討会」報告書の概要

その後、「電波利用料の見直しに関する基本方針」を踏まえ、次期電波利用料の料額算定の具体的な考え方について、平成26年1月に「電波利用料の見直しに係る料額算定の具体化方針」を策定した。

総務省は同年2月、これらの検討を踏まえ、料額の見直し等を行うとともに、災害時等において人命救助や災害救援等を目的として臨時に開設する無線局(総務大臣が認めるもの)について電波利用料及び免許申請等に係る手数料を免除する規定の整備等を行う電波法の一部を改正する法律案を国会に提出し、同年4月に成立した(図表6-2-3-2)。

図表6-2-3-2 電波法の一部改正法案の概要(電波利用料関係)
(ウ)デジタル防災ICTシステム等の整備

総務省では、市町村が行う災害の被災状況の把握や救急・救命活動に重要な役割を担う150MHz帯及び400MHz帯を使用する「防災行政無線」及び「消防・救急無線」を、従来の音声通信のみのアナログ方式から、データ伝送や準動画など情報量を多く含む無線通信が行えるようになる260MHz帯デジタル方式への移行を推進している。

「消防・救急無線」については、アナログ方式による使用期限である平成28年5月末以降は、利用ができなくなることもあり、防災行政無線のデジタル化と併せて周波数の一層の有効利用を促進するため、平成25年度から電波利用料財源を活用したデジタル方式の防災ICTシステムの整備を推進するための補助制度(周波数有効利用促進事業)が導入され、国がデジタル化経費の一部を補助することとなった。同年度には12団体(13事業)に対し補助金の交付を行った(図表6-2-3-3)。

図表6-2-3-3 消防・救急無線/市町村防災行政無線のデジタル化整備支援


24 電波政策ビジョン懇談会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/denpa_vision/index.html別ウィンドウで開きます

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