総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > 地方公共団体の認識・取組状況
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第2節 ICTのさらなる利活用の進展

(4) 地方公共団体の認識・取組状況

ここまで電子政府・電子自治体を取り巻く最近の政策動向について紹介してきたが、電子政府・電子自治体の浸透においては、住民に密着した行政サービスを提供する地方公共団体の果たす役割は大きく、また地方公共団体にとっても、住民サービスの向上、業務の効率化、地域産業の活性化などの観点から電子自治体への期待は高い。ここでは、地方公共団体へのアンケート結果3等を通じて、マイナンバーや情報システムの共同利用に関する地方公共団体の認識・取組状況についてみていくこととする。

ア アンケート結果に基づくマイナンバーに関する認識

地方公共団体におけるマイナンバーの活用の進展は、住民の利便性の高いサービスを構成する契機となるなど、住民向けサービスの高度化・普及の鍵となると考えられる。そこで、マイナンバーに対する期待と課題について質問し、その結果を前年の調査と比較することとした。

まず、マイナンバーの導入により、今後、活用を希望するサービスとしては、「窓口総合サービス」が74.6%と最も高く、「団体・機関にまたがる総合サービス実施と利用者・行政事務削減」が73.3%、「各種制度の一元的な案内・手続き」が72.2%と続いている。住民向けサービスの向上、行政事務の削減・効率化のいずれも高い期待があることがうかがえる結果となっている(図表4-2-1-16)。

図表4-2-1-16 マイナンバー導入で地方公共団体が活用を希望しているサービス
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成26年)
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次に、マイナンバーの将来的な用途拡大に当たっての課題について聞いたところ、今回の調査では「具体的な利用イメージ・用途が明確でない」(53.5%)が「財政的に厳しい」(48.7%)を抜く結果となった。次いで、「進め方(体制など)がよくわからない」(44.6%)、「部門・地域等で共通利用できるシステム構築が難しい」(35.9%)、「人材的に厳しい」(35.9%)の順となった。なお、「市民の理解」が大幅に下がったのは、マイナンバー制度の成立によって、以前よりは市民の理解を得やすくなったと考えているものと思われる(図表4-2-1-17)。

図表4-2-1-17 マイナンバーの将来的な用途拡大に当たっての課題
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状に関する調査研究」(平成26年)
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イ 情報システムの共同利用に関する取組状況

マイナンバーの導入に伴い、地方公共団体においては住民基本台帳システムのみならず、地方税関係システムや社会保障関係システムに至るまで様々な既存業務システムの改修を行うこととなる。自治体クラウドなど複数の団体による情報システムの共同利用により、関係経費の削減やセキュリティの強化を図る地方公共団体は今後、増加していくものと思われる。そこで、総務省「地方自治情報管理概要」を基に、情報システムの共同利用についての地方公共団体の取組状況についてみていくこととする。

まず、複数の地方公共団体による情報システムの集約と共同利用の共同化を実施している協議会等への参加状況をたずねたところ、都道府県では37団体(78.7%)、市区町村では1,290団体(74.1%)が参加しているとの回答であった(図表4-2-1-18)。

図表4-2-1-18 協議会等への参加状況
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
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次いで、基幹系業務についてクラウド技術(ASP・SaaS、仮想化等)を活用し、情報システムを外部のデータセンター(庁舎別館や一部事務組合の施設等を除く。)にて運用している状況について、市町村に対し、複数団体の協議による共同による基幹系業務システムの導入についてたずねたところ、導入済みが202団体(11.6%)、導入予定が252団体(14.5%)にとどまった(図表4-2-1-19)。

図表4-2-1-19 複数団体の協議による共同による基幹系業務システムの導入状況
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
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なお、導入済みの202団体に対し、どのような業務システムを共同で導入したかを尋ねたところ、「住民情報関連業務システム」及び「税業務システム」が181団体(89.6%)で、「国民健康保険システム」が174団体(89.6%)、「福祉業務システム」が155団体(76.7%)という結果になった(図表4-2-1-20)。

図表4-2-1-20 共同で導入した基幹系業務システム
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
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なお、導入によるコスト削減効果については、4分の3近くの団体が「削減効果があった」と回答している。中でも約4分の1の団体は「3割程度以上削減された」と回答している(図表4-2-1-21)。

図表4-2-1-21 共同導入によるコスト削減効果
(出典)総務省「地方自治情報管理概要」(平成26年3月)
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3 調査概要は第3章第1節4.(「G空間×ICT」の活用推進)を参照のこと

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