総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > データ活用における変化の兆し
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第4節 本格的なデータ活用社会の到来

(1) データ活用における変化の兆し

本章で言及してきたように、我が国でも様々な取組が登場してきており、本格的なデータ活用社会が我が国にも到来している状況にあると言えるが、その中で見られる変化の兆しについて触れる。

ア データ活用業種の広がり

平成25年版白書でも触れたが、流通業や金融業といった従来から構造化データを活用してきた業種だけでなく、ICTの進化による各種デバイスやセンサー技術の性能向上及び低価格化により、医療・ヘルスケア、農業、サービス業、インフラ、行政といった分野でもデータ活用の事例が次々と現れている。また、それと前後して、自動車や住宅といった大きなものから定期券や体組成計、時計、眼鏡といった小さなものまで身の回りの様々なものがM2M/IoT技術によりつながる環境が構築されてきたことも、様々な業種・分野におけるデータ活用を後押しする状況となっている。

イ データ活用の深化

データ活用の度合いについても変化が生じてきている。これまでのデータを活用した分析の多くは、社内各部署に分散する各種データを集約することで業務や会社の状況の「見える化」を図ることであった。今回の調査でも、多くの企業がデータを活用した「見える化」により効果を得ていると回答している。しかし、企業等の中には、さらにデータ活用を深化させることで効用を得ている旨の回答も存在する。

個別に調査した事例では、「見える化」を図ることは当然のこととして、「見える化」で判明した事実を分析することで正常/異常を区別し、異常が現れた場合に警告を発するような「自動検出」を行う取組、「見える化」や「自動検出」の結果に基づいて将来の「予測」を行う取組、そして、「予測」の結果に基づいて最適化モデルを構築し制御を行う「自動制御」の取組、といったようにデータ活用の度合いを深化させているものが見られた(図表3-4-1-1)。

図表3-4-1-1 データ活用の深化
(出典)鈴木良介「ビッグデータビジネスの時代」をもとに総務省作成
ウ データの社会インフラ化

これまで企業等がデータを活用する際、企業内/組織内のデータを活用して分析を行うのが主であったが、(株)NTTドコモのモバイル空間統計のように、今後、企業外/組織外のデータを活用し、企業内/組織内のデータと突き合わせることによって、新たな知見を得ていく取組が増えていくであろう。

そして、企業外/組織外のデータの中で注目されるのが行政機関の保有する公共データである。日本経団連による企業アンケートの結果からもオープンデータに対する期待が高いことが見て取れる。また、行政側にしても、透明性・信頼性の向上や官民協働の促進、行政の効率化といった観点からオープンデータの取組は重要であり、今後は一層の加速が予想される。

また、利用者がソーシャルメディアなどを通じて発信するデータも、現時点では企業等による活用の割合は低いが、今後は経営戦略の立案や商品・サービスの企画開発などにおける重要なデータリソースとして活用されていくであろう。

これらの流れを通じて、今後、データが一企業/一組織の経営資源という枠を越えて、社会全体で共有されるインフラとしての性格を強めていくものと考えられる(図表3-4-1-2)。

図表3-4-1-2 データの社会インフラ化
(出典)総務省「ICTコトづくり検討会議」報告書
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