総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > アフリカを中心に広がる「モバイルヘルス」
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 様々な社会的課題とICTによる課題解決

4 アフリカを中心に広がる「モバイルヘルス」

世界保健機構(World Health Organization, WHO)9によると、2012年時点で全世界のHIV患者は3,530万人である。2001年には全世界で3,030 万人であったことから、11年で約500万人、17%増加している。そのうち、世界全体の71%にあたる約2,500万人がサブサハラ地域に集中しているという。

抗レトロウイルス薬(ARV)の普及によってエイズで死亡する人の数は減少しているものの、同地域においては、HIVの問題は日常生活と非常に密接な関係にある。

そのアフリカにおいては携帯電話の普及が急速に進み、日常生活の中において欠かせないコミュニケーションツールとなっており、携帯電話を活用したHIVの予防や対策に関する情報を提供するサービスも多数登場してきている。例えば、抗レトロウイルス薬(ARV)の普及によってエイズでの死亡者数が減少したとしても、病院に薬を取りに行くのを忘れてしまっては防ぎようがない。これを回避するためにも携帯電話で情報を配信することによって抗レトロウイルス薬(ARV)の摂取を忘れないようにする取組が行われている。

GSMAでは新興国における携帯電話業界とヘルスケア関係者が提携しながら「モバイルヘルス」の推進をしていくことを目指している。特にアフリカにおいては、国連のミレニアム開発目標(MDGs)における8つの目標のうち、目標4:乳幼児死亡率の削減、目標5:妊産婦の健康の改善及び目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止において「モバイルヘルス」を活用することが期待されているとしている10

2012年12月にGSMAが調査した発表11によると、世界で「モバイルヘルス」のサービスは852あるが、そのうちアフリカが247で、全体の約3割を占めている(図表1-3-4-1)。

図表1-3-4-1 「モバイルヘルス」サービスの地域的な分布
(出典)GSMA
「図表1-3-4-1 「モバイルヘルス」サービスの地域的な分布」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

途上国での「モバイルヘルス」は携帯電話の基本的な機能である音声通話やショートメッセージ(SMS)を活用しての情報配信が中心である。それらの多くがパソコンやスマートフォンを所有してなくとも利用できるサービスである。アフリカを中心とした途上国では、このような情報配信でも重要であり、病気の予防につながることが多い。



9 http://www.who.int/gho/hiv/epidemic_status/cases_all_text/en/別ウィンドウで開きます

10 http://www.gsma.com/mobilefordevelopment/programmes/mhealth/programme-overview別ウィンドウで開きます

11 http://www.gsma.com/mobilefordevelopment/new-infographic-on-mdg-6-how-mhealth-is-supporting-the-combat-of-hivaids-malaria-and-other-diseases別ウィンドウで開きます

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