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第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 安心・安全なインターネット利用環境の構築

(3) ICTを適切に扱うための取組

ICTについては、その扱いが適切であるかということが重要になるため、子供から学生、社会人、高齢者に至るまで、そのリテラシーの現状も把握しつつ、年代層別に、ICTに関する知識を身に付けるための取組が推進されている7

ア 民間団体等の取組

携帯電話及びインターネット利用環境整備の取組については、企業や教育機関、NPO等によって個々に行われてきた取組を連携させ、民間における自主的取組を向上させることを目的として、一般社団法人安心ネットづくり促進協議会が設立され、地域での普及啓発活動を行っている。この活動において、スマートフォンやソーシャルメディアの利用に当たっての家庭や学校におけるルール作り等の説明強化を進めている。

啓発活動のうち、会員企業・団体が無料で提供しているインターネット安心安全に関する出前講座一覧を協議会ホームページで掲載し、講師派遣料や交通費のかからない講座を掲載することで学校や地域の活用を促している。

また、一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)では、ソーシャルゲームの安心・安全な利用啓発を目的とした小学生向け啓発アプリの開発及び普及啓発活動における周知を行っており、啓発アプリ「じゃすがんの大冒険」は2014年(平成26年)1月から配信が開始され、4月現在Android、iOS双方で提供されている。このアプリは、全5ステージで構成されており、①個人情報の公開の危険性、②課金時の注意点、③誹謗中傷に対する対応方法、④他サイトへの誘導の際の注意点、⑤は①〜④ステージで学んだことの再確認、となっている。小学生にも分かりやすい表記にし、ステージ難易度を易しく設計することで、初めてスマートフォンを使う方や、インターネットを利用する方も、スムーズにソーシャルゲームやSNS等の正しい使い方や利用上の注意点を学ぶことができるようにしている(図表4-3-1-29)。

図表4-3-1-29 ソーシャルゲームの安心・安全な利用啓発を目的とした小学生向け啓発アプリ
(出典)一般社団法人ソーシャルゲーム協会報道発表資料
イ 企業等の取組
(ア)サービス事業者の取組

フィルタリング開発・提供事業者のデジタルアーツ社では、スマートフォンを利用する上での危険について疑似体験できる啓発アプリの開発、無償提供及び普及啓発活動における周知を行っている。同社の「スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ」は、①出会い系被害、②個人情報漏えい(2種)、③高額請求、④ネットいじめ、⑤スマホ依存、⑥スマホ以外の端末、⑦危険なアプリ、⑧ゲーム依存、⑨友達とのトラブル(2種)の各ストーリーを通じ、青少年を教える立場にある保護者や教職員、青少年自身等が、ネット上の様々な危険を疑似体験できるようになっており、学校、地方公共団体、警察、啓発団体等が実施する情報モラル教育で活用できる(図表4-3-1-30)。

図表4-3-1-30 スマートフォンを利用する上での危険について疑似体験できる啓発アプリ
(出典)デジタルアーツ株式会社報道発表資料

ソーシャルゲームやチャットの事業者では、サービスのトップページ、広告媒体(チラシ、パンフレット、雑誌等)、啓発用アカウント等を活用した注意喚起を行っている(図表4-3-1-31)。

図表4-3-1-31 ソーシャルゲームやチャットの事業者の青少年向け周知活動
(出典)各社ホームページより
(イ)メーカーの取組

携帯電話やPC以外の専用端末についても、ペアレンタルコントロール等に代表されるような、家庭内で青少年による不適切な利用が起こらないようにする仕組みも広まっており、一例をあげると、平成26年から家庭用ゲーム機におけるペアレンタルコントロールの啓発が、ゲーム機メーカー大手3社共同で行われるようになった。家庭用ゲーム機には他のユーザーとのコミュニケーション機能や、ウェブサイト閲覧機能を持つ機種もあるが、子どもが利用するに当たり保護者による利用制限を促すものである(図表4-3-1-32)。

図表4-3-1-32 ゲーム機のペアレンタルコントロール機能についての周知啓発の取組
(出典)内閣府「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会(第21回)」配付資料
ウ 地域における取組

青少年インターネット環境整備基本計画(第2次)において特に留意すべき課題の1つとして、「国、地方公共団体、民間団体の連携強化」を挙げていることから、地方が自立的に各種取組を実施できるようにするための連携体制構築を目的として、平成25年度から全国8ブロックにおいて青少年のインターネット利用環境づくりフォーラムが開催されている。このフォーラムは、内閣府主催、都道府県、市及び国の行政機関等の共催により、各地方における青少年のインターネット利用環境整備を推進する関係機関・団体が連携し、自立的に各種取組を実施できるようにするための体制構築を目的としている。参加者は、保護者、地方公共団体、学校・教育関係者、警察及び通信関係企業等であり、平成26年度には全国6か所で開催予定である。フォーラムでは基調講演とパネルディスカッション、企業の取組等に関する講演がなされている(図表4-3-1-33)。

図表4-3-1-33 「青少年のインターネット利用環境づくりフォーラムin宮城」のパネルディスカッション模様
(出典)総務省「「青少年のインターネット利用環境づくりフォーラムin宮城」開催」
エ 政府における取組
(ア)青少年インターネット環境整備基本計画

我が国の将来を担う若い世代がICTを適切に扱うための取組については、平成21年6月、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)(以下「青少年インターネット環境整備法」)に基づき、政府全体として取り組んでいる。青少年インターネット環境整備法に基づき、青少年のインターネット利用環境の整備推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画」(いわゆる青少年インターネット環境整備基本計画)が策定された。

基本計画の策定後、青少年を取り巻くインターネット環境の整備をめぐる新たな課題について検討し、今後3年間に重点的に取り組むべき施策を明らかにする必要が生じたため、①スマートフォンを始めとする新たな機器への対応②保護者に対する普及啓発の強化③国、地方公共団体、民間団体の連携強化が重要となった。これを背景に第2次基本計画(平成24年7月6日子ども・若者育成支援推進本部決定)が策定され、①青少年のインターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進、②青少年有害情報フィルタリングの性能の向上及び利用の普及等、③青少年のインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等の支援、④その他の施策・推進体制等を柱にして、国・地方公共団体・事業者及び民間団体等での取組が進められている(図表4-3-1-34)。

図表4-3-1-34 青少年インターネット環境整備基本計画(第2次)の概要
(出典)内閣府「青少年インターネット環境の整備等に関する基本計画」
(イ)春のあんしんネット・新学期一斉行動

未来を担う青少年が、ネット利用におけるリスクや対応策を理解した上で、スマートフォン等を正しく利活用できる環境を整えることが、従来にも増して重要になったという認識の下、内閣府、総務省、経済産業省、内閣官房IT総合戦略室、警察庁、消費者庁、法務省及び文部科学省では、青少年・保護者に対して実施する啓発活動等の取組として平成26年から「春のあんしんネット・新学期一斉行動」として集中的に展開することとした。これは、多くの青少年が初めてスマートフォン・タブレット等を手にする春の卒業・進学・新入学の時期に特に重点を置き、サービスを提供する関係事業者や学校等の関係者が連携して行うものである(図表4-3-1-35)。

図表4-3-1-35 「春のあんしんネット・新学期一斉行動」における主な取組


7 この点については世界最先端IT国家創造宣言を参照のこと。

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