総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > G空間情報の活用推進に係る諸外国の動向
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第1節 様々な価値を生み出すビッグデータ

(4) G空間情報の活用推進に係る諸外国の動向

諸外国、特に米国や欧州では、G空間情報の活用を促進させるにあたり、必要なインフラの整備と併せて、インフラの利用の拡大に向けて、民間の利用を促すための取組があわせて行われている。特に衛星測位の分野では、民生利用を促すため、米国や欧州の地域で、それぞれ特色ある活動が展開されている。

ア 米国におけるGPSの運用と民間利用拡大に向けた取組

米国のGPSは約30機体制で運営しているが、2004年(平成16年)からは民生向けに開放されており、世界の多くの地域で重要な社会インフラの一つとして利用されている。

GPSの運用の統括機関として、同年末のブッシュ大統領による大統領令に基づき、9省庁の長官級で構成されるPNT政策委員会(National Executive Committee for space-based PNT、通称PNT EXECOM)がホワイトハウスの元に設立されており、実務の執行機関はPNT国家調整事務局(National Coordination office)が担当している。PNT EXECOMは国防総省及び運輸省を共同議長とし、米国の衛星測位が、安全保障や経済活性化、公共の安全、学術等の諸分野での利用が可能となるよう、参加する各省庁の部局や関係機関に対して、助言や提言、意見の調整を行っている(図表3-1-4-13)。

図表3-1-4-13 GPSの運用体制
(出典)米国GPS情報提供ポータル(www.gps.gov)

このような政策として衛星測位のあり方を決定する機関に対し、民間による利用の拡大に向けて、政府と民間の主要な関係者が定期的に意見交換を図る活動が展開されている。運輸省と沿岸警備隊(USCG)が共催するCGSIC(Civil GPS Service Interface Committee)は、衛星測位に関わる政府機関と、主要な民生利用の国内外の関係者が意見交換を行う国際的な会合である。年に一回、会合が開催されており、4つの小委員会があわせて開催される。衛星測位に関する政策及び技術に関する情報の意見交換の他、民間の関係者から政府のGPS運用関係者への要望を表明することが可能な場として機能している。

イ 欧州におけるGalileoの運用と民間利用拡大に向けた取組

欧州が独自の衛星測位システムとして構築を進めているGalileoは現在、構築に向けて打ち上げが進められており、2014年(平成26年)〜2015年(平成27年)までに18機で限定的なサービスを開始し、2018年(平成30年)までに30機を配備し、主に民生利用を想定している。

Galileo構築にあたっては、欧州連合の執行機関である欧州委員会EC(European Commission)が責任主体となり、システムの設計と機器調達は権限委任契約に基づき、欧州宇宙機関ESA(The European Space Agency)が実施している。当初は10か国でスタートし、現在、20か国が参加している。

このような衛星測位のインフラ整備に対して、民間の利用を促すためにGSA(The European GNSS Agency)が設立され、様々な衛星測位の利用拡大に向けた事業を展開している。中でも特徴的なのは、衛星測位システムの利用の拡大に向けて、毎年マーケットの動向を整理したレポートの発行が行われていることである。主要な利用分野の動向やビジネスチャンスが整理されており、その内容はホームページで公開され、Galileoを用いた新サービスの創出について、随時情報が得られる状況になっている。

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