総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > 情報セキュリティに係る利用者の意識について
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 安心・安全なインターネット利用環境の構築

(2) 情報セキュリティに係る利用者の意識について

総務省では、情報セキュリティに係る個人の意識について、各国で違いがあるか実態を把握するため、日本・米国・英国・フランス・韓国及びシンガポールの利用者を対象とした国際比較のアンケート調査16を実施した。

ア 情報セキュリティの被害の経験

まず、インターネットを利用していて情報セキュリティの被害にあった経験の有無を尋ねた。「被害を受けた(確信している、証拠がある)」と「受けた(可能性がある)」の合計に着目したところ、韓国が39.4%と最も高く、次いでフランス(34.6%)、米国(24.9%)の順となった。他方、日本は15.0%であり、スマートフォン保有者に限定しても16.4%という低い結果となった(図表4-3-2-18)。

図表4-3-2-18 情報セキュリティに関する被害の経験
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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実際に受けた被害の内容について聞いたところ、日本では「迷惑メール(スパム)が送られてきた(架空請求メールの受信を除く)」(71.3%)、「コンピュータウイルスの感染」(50.4%)、「身に覚えのない料金の支払いを要求するメール(架空請求メール)が送られてきた」(33.8%)の順となった。他国でも「迷惑メール(スパム)が送られてきた(架空請求メールの受信を除く)」、「コンピュータウイルスの感染」が上位を占める結果となった(図表4-3-2-19)。

図表4-3-2-19 実際に受けた被害の種類
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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イ インターネット上の脅威への認知度

インターネット上の脅威に対する認知度について尋ねたところ、日本では、上位から「スパイウェア」(63.5%)、「フィッシング詐欺」(62.6%)、「ワンクリック詐欺」(60.1%)、「架空請求」(59.4%)、「スパムメール」(58.6%)、「マルウェア(コンピュータウイルス)」(48.2%)となった。他国でも、「スパイウェア」、「マルウェア(コンピュータウイルス)」「スパムメール」の認知度は、概ね高い傾向にある。他方、日本における「ワンクリック詐欺」と「架空請求」の認知度の高さは他国との相異点になっている。なお最近問題となった「標的型攻撃」「リスト型アカウントハッキング攻撃」「ランサムウェア」への認知度は日本ではまだいずれも20%を下回っている(図表4-3-2-20)。

図表4-3-2-20 インターネット上の脅威への認知度
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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ウ 情報セキュリティ対策の実施状況

情報セキュリティ対策の実施状況に関し、私用PCとスマートフォンそれぞれでの対策について尋ねた。

私用PCでの対策に関して、日本は他の国と比べて、「信頼できるサイトからアプリケーションをインストールする」及び「重要なデータのバックアップを行う」が20%を下回る低い結果となった(図表4-3-2-21)。

図表4-3-2-21 私用PCへの情報セキュリティ対策
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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続いて、スマートフォンでの対策を尋ねたところ、日本は、「スマートフォンのOSやアプリのアップデートを行う」は35.9%と他の国に比べて高い数字となったが、「重要なデータのバックアップを行う」は14.8%と他の国より低い結果となった(図表4-3-2-22)。

図表4-3-2-22 スマートフォンへの情報セキュリティ対策
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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なお、私用PCとスマートフォンを併用している利用者について、双方におけるセキュリティ対策の実施状況を比較したのが図表4-3-2-23である。全般的に、私用PCでのセキュリティ対策に比べて、スマートフォンでの対策が遅れている傾向であるが、特に「ウイルス対策アプリケーション・オンラインサービスの導入」では、日本、英国、フランス及びシンガポールでは、私用PCでの対策とスマートフォンでの対策との間に20%前後の開きが見られる。なお、日本では私用PCでの「信頼できるサイトからアプリケーションをインストールする」が他の5カ国より低く、また、スマートフォンでの「信頼できるサイトからアプリケーションをインストールする」よりも低い結果となっている。

図表4-3-2-23 セキュリティ対策の実施状況(私用PCとスマートフォンの比較)
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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エ スマートフォン利用により感じる不安

6カ国のスマートフォン利用者に対し、スマートフォンを利用するようになって感じている不安について尋ねたところ、日本では、「個人情報流出」(44.5%)、「ウイルス・マルウェア感染」(36.4%)が高い結果となった。なお、「ウイルス・マルウェア感染」については、シンガポールが49.7%とより高い結果となった。さらに、「個人情報流出」は、韓国(65.8%)、シンガポール(54.9%)と日本より高い数字を示している(図表4-3-2-24)。

図表4-3-2-24 スマートフォン利用により感じる不安
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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オ 情報セキュリティに係るリテラシー

情報セキュリティ対策の教育・研修の受講経験について尋ねたところ、我が国では「ない」が7割強で、他国においても5〜7割に上っている。受講経験者で比較すると、シンガポールでは「会社で受講している」との回答が、フランスでは「自分で学習している」との回答が他国と比べて高い結果となった(図表4-3-2-25)。

図表4-3-2-25 情報セキュリティ対策の教育・研修の受講経験の有無
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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16 調査概要については第4章第1節第1項「ICTの進化によるライフスタイルの変化」を参照のこと。

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