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第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第1節 ICTの進化によるライフスタイル・ワークスタイルの変化

(1) ICTの利用環境の変化

ア スマートフォン等モバイル端末の普及

スマートフォンやタブレット端末の普及は情報通信機器の全体の普及動向のなかで、各国では現在どのような位置にあるのだろうか。まず、主な情報通信機器の個人保有状況について聞いてみた(図表4-1-1-7)。

図表4-1-1-7 情報通信機器の個人保有状況
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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その結果を見ると、PCは各国共通で9割前後の高い普及率であるが、前述のスマートフォン保有率は我が国では5割強である一方、海外ではスマートフォン普及率が7〜9割と高く、米国およびフランスは7割、英国は8割、韓国およびシンガポールにおいては9割前後がスマートフォンを保有している。

携帯電話のみに着目してみると、我が国ではフィーチャーフォンの保有率がスマートフォン併用者と合わせると3割弱存在しており、他国と比べて顕著に異なるという特徴が表れている。この背景には世界でも類をみないほど高度に進化した、いわゆる日本のガラケー文化が現在でも一定の支持を得ていることが考えられるほか、高齢者等通話や電子メールを中心に使うユーザーにおいて、フィーチャーフォンに対する高い評価もうかがえる(図表4-1-1-8)。

図表4-1-1-8 スマートフォン及びフィーチャーフォンの保有率
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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そこで日本について、スマートフォン保有者とフィーチャーフォン保有者別で今後の端末購入意向を聞いてみた結果、スマートフォン保有者では次回「必ずスマートフォンを購入する」と「おそらくスマートフォンを購入する」との合計が83.1%であるのに対し、フィーチャーフォンの購入希望者は1%にも満たないことから、将来的にもこれらの層の大半はスマートフォンを購入するものと考えられる。

他方で、フィーチャーフォン保有者については、フィーチャーフォン希望者が多いものの、4分の1以上はスマートフォンへの移行を考えている。また、「わからない」が3割強と、スマートフォン保有者の2倍程度存在しており、今後のサービスや発売される端末等の様子を見ているユーザーも一定数存在しているものと考えられる(図表4-1-1-9)。

図表4-1-1-9 次に購入したい携帯電話の種類(日本)
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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このように我が国と海外でスマートフォンの普及率に差がある状況だが、普及の仕方に違いがあったかを確認するためにスマートフォンの初回購入時期を年代別に見てみると、各国で異なる特徴が顕著に表れる。

まず我が国については、20代を中心に2〜5年前に普及し始め、その後10代及び30代にも1〜2年前に普及し、直近1年では更に10代を中心に普及が進んだことが見て取れる。一方で、40〜50代以上については他国に比べて普及が進んでいない状況にある。

海外について同様の見方をすると、まず5か国共通で「5年より前」に最初のスマートフォンを購入した層が一定数存在しており、我が国より早く普及が始まったことがうかがえる。個々については、米国は20〜30代中心、英国及び韓国は30代中心、フランスは10代中心、シンガポールは全世代でほぼ均等に普及してきたことが見てとれる。また、韓国およびシンガポールについては50代以上の世代でも8割前後の高いスマートフォン普及率を示していることが特徴的である(図表4-1-1-10)。

図表4-1-1-10 スマートフォンにおける年代別初回購入時期と普及率
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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イ モバイルをはじめとしたデータ通信回線の変化

これらのスマートフォンへのシフトに伴い、動画や画像等のリッチコンテンツの閲覧が容易になったことで、特にモバイルデータ回線の環境でも変化が進んでおり、我が国においては、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行時期と3GからLTEへの移行時期が重なったこともあり、昨今急速にLTE利用者が増加している状況にある(第2部第5章参照)。

国際ウェブアンケートの結果を見てみても、LTE利用者が日本は約4割と、LTEの普及率が6割と最も高い韓国と同様に3G回線よりLTEの利用者が多い状況にあり、シンガポールや米国についてもLTEが3割前後となるなど各国においてもモバイル回線の高速化が進みつつある状況にある(図表4-1-1-11)。

図表4-1-1-11 モバイルデータ回線の利用者の割合
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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さらに、スマートフォン保有者における最も使用頻度の高い端末について聞いてみると、スマートフォンとタブレット端末を合わせた割合がどの国でも4割を上回り、特に前述のLTE普及が進んでいる我が国および韓国、シンガポールでは5割を超えており、モバイル回線の高速化が進むこれらの国では情報通信機器の主役がスマートフォンになりつつあることがうかがえる状況となっている(図表4-1-1-12)。

図表4-1-1-12 最も使用頻度の高い端末
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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また、データ通信の定額制についても、各国ともデータ通信利用者の8〜9割が定額制を利用しており、広く浸透している状況にある。その中でも、我が国は定額制が85.6%と最も高く、更にスマートフォン保有者に限定すると94.5%にまで上昇し、スマートフォン利用者の大半は定額制を利用しているところである(図表4-1-1-13)。

図表4-1-1-13 モバイルデータ回線契約の比較(定額制・従量制)
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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一方で、データ通信の重要性が増すにつれて自宅での無線LAN利用も進んでおり、各国における自宅の無線LAN利用状況をみてみると、日本では無線LANを「使う(ほぼ必ず+よく+たまに)」の回答が6割を超えているほか、他の国では8割となっており、これらの国における多くの世帯で自宅の無線LAN環境が整ってきていることがみてとれる。

さらに、日本についてはスマートフォン保有者に限定すると自宅の無線LAN利用率は77.6%と8割近くに高まることからも、これらの背景としてスマートフォンは前述のとおりフィーチャーフォンと異なり、動画や画像など大容量のコンテンツをダウンロードすることが多いため、高速で安定している自宅の固定回線に無線LANで接続する利用者が増えてきているものと考えられる(図表4-1-1-14)。

図表4-1-1-14 自宅での無線LAN利用頻度
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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その固定回線においても高速化が進みつつあり、我が国は光回線(FTTH)の普及率が6割強と最高水準にあるのが特徴的であり、韓国とシンガポールでも2割を超えている。また、各国の特徴としては、米国はケーブルテレビ回線の比率が最も高く、英国及びフランスではADSLが主流であり、フランスについては大半がADSLであるのが顕著な点である(図表4-1-1-15)。

図表4-1-1-15 固定系データ回線の普及率
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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ウ 端末等の利用時間の変化

携帯電話、PC、タブレット端末、テレビといった端末等の平均利用時間を見てみると、テレビ及びPCの利用時間が6か国共通でおおむね2〜3時間前後と最も長いが、特に米国は共に3時間近くと6か国中最も長いことに加え、英国も米国と同様の傾向がみられる。一方で「紙の新聞・雑誌を読む時間」や「紙の書籍を読む時間」は6か国とも50分に届かず、大きな違いがない状況にある。

他方で、我が国においてはスマートフォン保有者とスマートフォン未保有者における携帯電話の利用時間で顕著な差がみられ、前者は78分と欧米や韓国、シンガポールと同水準であるのに対し、後者は12分と1時間強の差がみられる。また、自宅でのPCの利用時間についても差が見られ、スマートフォン保有者は115分であるのに対し、未保有者は166分と前者のほうが50分程短くなっており、このことからスマートフォンがPCの代わりになりつつあることがうかがえる状況になっている(図表4-1-1-16)。

図表4-1-1-16 1日あたりの端末等の接触時間
(出典)総務省「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」(平成26年)
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