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第2部 情報通信の現況・政策の動向
第2節 情報通信政策の展開

第2節 情報通信政策の展開

1 電気通信事業政策の展開

(1) 世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けた取組

ア 世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けた取組

我が国は、経済的地位の低下、少子高齢化、グローバル化の進展、大規模災害発生の可能性等の課題を有しており、2020年代に向けて、経済活性化や国民生活の向上を図ることが必要となっている。現在、携帯電話が一人1台以上普及しているほか、約8割の国民がインターネットを利用しているなど、ICTは、国民生活に不可欠な社会活動の基盤としての役割に加え、国内で最大の産業として経済成長を牽引し、生産性の向上や新たな事業の創出等をもたらす、あらゆる産業における経済活動の基盤としての役割を有している。そして、ICTの更なる普及・発展に伴い、ICTの役割はますます増大すると見込まれる。

一方、ビジネス・サービスの変化、電気通信事業者の再編・集約、ICTの利用機会の増大、消費支出に占める通信費の割合の増加、苦情・相談件数の増加など、ICT基盤を取り巻く環境も大きく変化している。

このような状況の中、「日本再興戦略」(平成25年6月閣議決定)では、「世界最高水準のIT社会の実現」のための世界最高レベルの通信インフラの整備が掲げられており、その実現のために必要な制度見直し等の方向性について、平成26年中に結論を得るとしている。

また、平成23年11月施行の電気通信事業法・NTT法の改正法1の附則において、同法の施行後3年を目途として、その実施状況について検討を加え、必要な場合に所要の措置を講ずることが規定されている。

これらを踏まえ、総務省は、2020年代に向けた情報通信の発展の動向を見据えた上で時代に即した電気通信事業の在り方の検討を行い、世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展による経済活性化・国民生活の向上を実現するため、「2020年代に向けた情報通信政策の在り方―世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けて―」について、平成26年2月に情報通信審議会に諮問し、「2020-ICT基盤政策特別部会」が設置された。

審議会では、①2020年代に向けた情報通信の展望、②情報通信基盤を利用する産業の競争力強化のための電気通信事業の在り方、③情報通信基盤の利用機会の確保や安心・安全の確保のための電気通信事業の在り方等について検討を行い、平成26年11月目途で答申を行う予定である2図表6-2-1-1)。

図表6-2-1-1 情報通信審議会諮問「2020年代に向けた情報通信政策の在り方―世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けて―」検討事項

なお、これらの取組と併せて、離島・過疎等の条件不利地域における超高速ブロードバンド基盤の整備を促進するため、総務省では地方公共団体等が基盤整備を実施する際、事業費の一部を支援している。

イ モバイル接続料の更なる適正性向上

平成24年10月より、モバイル接続料(携帯電話事業者の接続料)算定の更なる適正性向上に向け、算定方法及びその検証の在り方を検討するため「モバイル接続料算定に係る研究会」を開催し、平成25年6月に報告書を取りまとめた。この検討結果を参考とし、モバイル接続料の適正性、検証可能性及び公平性を確保する観点から、「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」を同年8月及び平成26年3月に改正した。

ウ 無線LANの利用促進

スマートフォンやタブレット等の無線LANを搭載した携帯端末の普及を背景として、無線LANを利用する機会が増えてきており、無線LANは、家庭、オフィス及び公衆スポットにおける快適なワイヤレスブロードバンド環境の実現のために必要不可欠な存在となっている。

無線LANの具体的な活用について、携帯電話事業者は、急増するモバイルトラヒックを無線LANに流すオフロードに積極的に取り組んでおり、自治体や商店街は、観光客の誘致や集客力の向上を図る取組を進めているほか、災害時等の有効な情報伝達手段としても着目されており、さらに重要性が増大していくと考えられる。

しかし、電波が混雑している場所等において、公衆無線LANに繋がりにくい状況が発生していることや、安心安全な利用に関する利用者への情報提供が必ずしも十分とはいえないことなど、無線LANの提供に関し様々な課題も出てきている。

こうした状況を踏まえ、総務省では、平成24年3月から「無線LANビジネス研究会3」において、無線LANに関する現状を整理するとともに、その安心安全な利用や普及に関する課題の抽出・整理を行い、平成24年7月に報告書を取りまとめた。

同報告書における提言を踏まえ、無線LANを巡る諸課題について、事業者間等での意見・情報交換を通じて連携・協調する場として、平成25年1月に「無線LANビジネス推進連絡会4」が発足し、平成25年9月には同連絡会において、岩手県釜石市で大規模震災を想定した公衆無線LANの無料開放にかかる実証実験を行った。本実証実験の成果は「大規模災害発生時における公衆無線LANの無料開放に関するガイドライン」として取りまとめられ、平成26年5月に公表された。また、多種多様なサービスが存在し、今後更なる事業者の参入が想定される公衆無線LANサービスについて、総務省は、サービスの事業運営に際し留意すべき事項等を定めた「無線LANビジネスガイドライン」を策定し、平成25年6月に公表した。

また、総務省では、無線LANの利便性向上の一環として、駅などの多数の人々が移動する場所での無線LANの利用環境を改善する無線LAN高速認証技術の標準化を民間企業等と推進しており、平成25年2月、京都大学において当該技術の実証実験を行った。

なお、総務省では、災害時等の有効な情報伝達手段としての公衆無線LAN整備を促進するために、自治体及び第三セクターを対象に「防災情報ステーション等整備事業」を平成25年度補正予算で実施した。当該事業を通じ、災害時のみならず、平時にも様々な地域情報の入手や発信が可能となる公衆無線LAN環境の整備が進むことで、防災や観光等における地域活性化に寄与することが期待される。

今後、総務省では、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催を見据えて、観光立国の推進に資するために、外国人旅行者にとって特に要望の高い無料公衆無線LAN環境について、整備の促進や利便性の向上等に取り組んでいくこととしている。



1 事業者間の公正競争環境の整備を図る観点から、NTT東西の機能分離等を規定。

2 情報通信審議会2020-ICT基盤政策特別部会(第1回)配付資料・議事概要・議事録:
http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/singi/02tsushin10_03000177.html別ウィンドウで開きます

3 無線LANビジネス研究会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/lan/index.html別ウィンドウで開きます

4 無線LANビジネス推進連絡会:http://www.wlan-business.org/別ウィンドウで開きます

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