総務省トップ > 政策 > 白書 > 26年版 > シエラレオネでの感染症予防
第1部 特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
第3節 様々な社会的課題とICTによる課題解決

(3) シエラレオネでの感染症予防

アフリカのシエラレオネでは年間16,000人がマラリアで死亡している。英国赤十字と国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は2013年4月、シエラレオネで携帯電話のショートメッセージ(SMS)を活用した情報発信システム「Trilogy Emergency Relief Application (TERA)」の提供を行うことを発表した16図表1-3-4-4)。このシステムでは、遠隔地とリアルタイムで双方向コミュニケーションが可能であり、1時間に特定地域の36,000人にSMSを送信することができる。SMSを通じて感染予防や洪水の警告などに関する情報を送っており、2013年4月には100万人に情報が送信された。

図表1-3-4-4 TERA概要

識字率向上と携帯電話

識字率の向上は、途上国においては依然として大きな課題の一つであるが、広く普及しつつある携帯電話等のモバイル機器はこの課題の解決に貢献しうるのだろうか。

図表1 成人の非識字率
(出典)UNESCO

国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が2014年4月に発表した報告書「Reading in the Mobile Era」17では、一見、無関係に見える両者の関係について、モバイル機器が、いかに読書を促進し、識字率向上に役立つかを示している。

世界で1.12億人の若年層を含む7.74億人が読み書きができないが、これは書籍の不足に起因するという。サブサハラ地域のほとんどの人々が1冊の本ももたず、この地域の学校は生徒に教科書を与えることはまれである。

一方で、書籍が希少な地域においてもモバイル機器は普及しつつあり、何千万の人々がモバイル機器をテキストへの入口として利用している。調査によると、識字率が低く、物理的な書籍が少ない地域においては、多くの人々が携帯電話の小さい画面で読書をしているという。

UNESCOでは、NokiaとNPO団体Worldreaderと協力して、エチオピア、ガーナ、インド等7カ国で4000人以上のWorldreader Mobile(Worldreaderが運営するモバイル機器で閲読をするためのアプリ)ユーザーを対象に調査を行い、以下の結果を得ている。

  • 多くの人々(調査参加者の1/3)がモバイル機器を用いて、子供に読み聞かせを行っている(図表2
    図表2 携帯電話を用いて、子供に対し、読み聞かせをしている割合
    (出典)UNESCO
  • 男性も女性もモバイル機器を用いた読書を始めると、より読書をするようになる(図表3
    図表3 モバイル機器を用いた読書をはじめて以降の読書頻度の変化
    (出典)UNESCO
  • 読み書き能力が限られている人々の多くが自らの能力にあったテキストを探すため、携帯を用いている

この調査を踏まえ、UNESCOでは、モバイル機器で読めるコンテンツやポータルの多様化、啓蒙普及活動やトレーニング、モバイルを用いた読書のコストや技術的障害を低下させることを提唱している。



16 http://www.redcross.org.uk/About-us/News/2013/April/Text-messages-send-hope-and-save-lives-in-Sierra-Leone別ウィンドウで開きます
https://www.ifrc.org/en/what-we-do/beneficiary-communications/tera/別ウィンドウで開きます

17 http://unesdoc.unesco.org/images/0022/002274/227436e.pdfPDF

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