平成18年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第6節 行政・公共分野の情報化に資する取組

1 行政・公共分野の情報化の推進

(1)電子政府の実現 〜利用者本位の、簡素で効率的な政府の実現〜

1 行政の情報化の総合的・計画的推進

 政府は、これまで利用者本位の行政サービスの提供と予算効率の高い簡素な政府の実現を目指し、「電子政府構築計画」(平成15年7月各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定、平成16年6月一部改定)、「今後の行政改革の方針」(平成16年12月24日閣議決定)、「IT政策パッケージ-2005」(平成17年2月24日IT戦略本部決定)等に基づき、電子政府構築を着実に推進してきた。今後は、e-Japan戦略の後継戦略となる「IT新改革戦略」(平成18年1月19日IT戦略本部決定)等に基づき、世界一便利で効率的な電子行政を目指し、オンライン申請率50%以上の達成や小さくて効率的な政府の実現を推進することとしている。
 これまでの電子政府の取組により、平成17年3月までに国の行政機関が扱う申請・届出等手続(約1万4,000種類)のほとんど(約96%)についてオンラインによる申請等の利用環境が整った。
 今後は、オンライン利用の促進を図ることが重要であるとの認識の下、年間申請件数の多い手続について重点的・計画的に利用促進を図るため策定した「オンライン利用促進行動計画」を着実に実施するほか、電子政府の総合窓口(e-Gov)を活用した行政手続のワンストップサービスの実現等、政府全体としての取組を推進している。
 各府省の業務・システムについては、[1]業務の制度面・運用面からの見直し、[2]事務処理の電子化・共通化、[3]システムの一元化・集中化等による合理化・効率化等により、業務・システムを効率化・合理化する取組を推進している。平成17年度末までに、対象分野の最適化計画(76分野)を策定した。今後は、可能な限り早期に最適化を実施し、業務処理時間や経費の削減などの効果を上げることとしている。
 また、この最適化の取組を継続的に行うため、「業務・システム最適化指針(ガイドライン)」を策定し、これに沿って最適化の実施状況及び評価状況のモニタリングを行うこととしている。
 
図表3-6-1 電子政府の取組について
図表3-6-1 電子政府の取組について

2 調達手続の電子化

 政府調達(公共事業分野を除く)手続の電子化は、「バーチャル・エージェンシー(省庁連携タスクフォース)の検討結果を踏まえた今後の取組について」(平成11年12月高度情報通信社会推進本部決定)に基づき、総務省が中心となり全省庁が参加する政府調達(公共事業分野を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議において推進している。
 平成13年1月から競争契約参加資格審査・名簿作成の統一基準に基づく新システムの運用を、同年6月から各省庁の調達情報を一括する政府調達情報の統合データベースの運用を開始した。また、入札・開札の電子化については、総務省を含む各省庁において平成15年度末までに導入済みとなっている。
 現在、調達関連業務の総合的な電子化実現に向け、契約の電子化が検討課題となっている。このため総務省は、契約の電子化の推進・実現に向け、平成15年9月、「政府調達(公共事業分野を除く)における契約の電子化のあり方に関する検討会」を設置し、CIO連絡会議の検討と連携を図りつつ契約の電子化におけるシステム上の諸課題等について検討を行い、平成17年4月に最終報告書を取りまとめた。同報告書では、政府調達における契約電子化を巡る国内外の動向、政府調達における契約業務の現状及び電子化のあり方、電子契約システム実現に向けた行動計画等について取りまとめられており、総務省では、同報告書を踏まえ、平成17年度より電子契約システムの設計に着手している。
 同システムについては、2か年度にわたる設計作業の後、システム開発に取り組み、平成20年度中の運用開始を図る予定となっている。
 
図表3-6-2 電子契約システムの将来モデル
図表3-6-2 電子契約システムの将来モデル

3 消防防災分野におけるICT化の推進

(1)ネットワークインフラの整備
 総務省では、災害時等において、迅速かつ的確に情報の収集・伝達を行うために、地上系通信網である消防防災無線を整備しており、都道府県及び市町村も、それぞれ都道府県防災行政無線、市町村防災行政無線を有している。また、総務省及び各地方公共団体においては、衛星系通信網である地域衛星通信ネットワークも活用しているところであり、今後、これら地上系無線網、衛星系通信網の更なる整備促進を行うとともに、これら関係無線の高度化・高機能化を推進していくこととしている。
 また、各消防本部と消防・救急隊員間又は消防・救急隊員間同士の連絡を行うための無線通信網である消防救急無線については、秘匿性の確保、高度なアプリケーションの実現、周波数の有効利用等のため、デジタル化に取り組むこととしており、各都道府県では地域の実情を踏まえつつ、平成18年度中に整備計画を作成することとしている。
 さらに、総務省では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、国民の安心・安全の確保に向けた「消防庁防災情報システム」の充実強化を図るとともに、武力攻撃事態等発生時において国民保護法に基づく住民安否情報の収集及び提供を効率的に行うことができるよう、平成18年度中にシステムの構築を進めることとしている。
 
図表3-6-3 消防防災通信ネットワークの概要図
図表3-6-3 消防防災通信ネットワークの概要図

(2)情報通信技術の進展への対応
 これまで、携帯電話からの119番通報については、地域の消防本部の中で代表となる消防本部で受信し、管轄消防本部へと転送する代表消防本部方式により運用を行ってきたが、この方式では、転送にかかる時間的遅延等の問題が指摘されてきたことから、管轄消防本部での直接受信を可能とするシステムへの移行を平成17年度に進めてきたところである。また、現在の119番通報の発信位置情報表示については、携帯電話では実現しておらず、IP電話等では各事業者ごとに設置する端末に文字のみで行われるなど、迅速な対応が困難な状況となっていることから、総務省では、平成17年度に、「IPネットワークを用いた119番通報の在り方に関する研究懇談会」の開催等により、消防関係機関や電気通信事業者等と連携を図りながら、発信位置情報を指令台に的確に地図表示することができるシステムの標準仕様を策定した。平成18年度においては、平成19年4月の運用開始に向けたシステムの構築を進めることとしている。
 今後は、IT新改革戦略等を踏まえ、国・地方公共団体・住民間における防災情報の共有化を図っていくため、総務省では地方公共団体と連携しつつ、計画的かつ積極的に情報化を推進する予定である。特に関係無線のデジタル化を早期に効率的に実施するため、また、必要な情報システムの整備、データ連携を進めるため、必要な方策を検討していくとともに、幅広く地方公共団体への支援を行うこととしている。

 第6節 行政・公共分野の情報化に資する取組

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