財務省貿易統計に基づき、ICT財2122の日本からの輸出額と日本への輸入額23の差引額を確認すると、その赤字額は近年増加の傾向が見られ、2024年では約3.4兆円の赤字となった24。内訳を項目別にみると、2024年の黒字額が最も大きいのは「その他の電子部品」であり、次いで「集積回路」となっている。一方、赤字額が最も大きいのは「携帯電話機」であり、近年、赤字額の拡大が続いている。続いて「パーソナルコンピュータ」、「電子計算機本体(パソコンを除く。)」、「有線電気通信機器」の赤字額が大きい。黒字額が大きいのは部品・部材等で、赤字額が大きいのは最終製品という傾向がある(図表Ⅰ-1-3-10)。
21 総務省「情報通信産業連関表」においてICT財の範囲とされている以下の財。
パーソナルコンピュータ、電子計算機本体(パソコンを除く。)、電子計算機附属装置、有線電気通信機器、携帯電話機、無線電気通信機器(携帯電話機を除く。)、通信ケーブル・光ファイバケーブル、事務用機械、半導体素子、集積回路、液晶パネル、フラットパネル・電子管、その他の電子部品
22 ここでのICT財の範囲は、独立行政法人日本貿易振興機構が「ジェトロ世界貿易投資報告」で集計している「デジタル関連財」とは範囲が異なり、例えば「ジェトロ世界貿易投資報告」の「デジタル関連財」に含まれる「半導体製造機器」は、ここでのICT財には含まれていない。
23 貿易統計の輸入額はCIF建て(Cost、Insurance and Freightの略で、貨物代金のほか仕向地までの保険料、運賃を含む。)、輸出額はFOB建て(Free on Boardの略で、輸出国における船積み価格。船積み後、仕向地までの保険料、運賃は含まない。)であり、ここでの輸出額と輸入額の差引額は、機械的に計算して算出したもの。
24 この統計は、あくまで日本から海外への輸出額、海外から日本への輸入額を示しており、日本企業の海外生産拠点から日本以外の海外への輸出が反映されていないことや、日本企業が海外拠点で生産し日本国内に輸入した場合は「輸入」になることに注意が必要である。