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第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第7節 ICT技術政策の動向

(4) Beyond 5Gを取り巻く国内外の動向

ア 民間事業者等における取組

NTTが提唱するIOWN構想10は、2019年にNTT、インテル、ソニーが設立した業界フォーラム「IOWN Global Forum」の国内外の参加団体数が順調に増加するとともに、日本の通信業界としても、楽天モバイルに加え、2023年3月にはKDDIが参加するなど、オールジャパンとしての取組になりつつある(図表Ⅱ-2-7-1)。

2023年3月には、NTT東西が、超低遅延を実現するオール光ネットワーク「IOWN 1.0」の商用サービスを開始し、2025年の大阪・関西万博では夢洲会場内のパビリオン・催事施設等の主要施設間にIOWNを提供したほか、KDDI及びソフトバンクも、オール光ネットワークを自社コア網に導入したことを発表した。

図表Ⅱ-2-7-1 IOWN光電融合デバイス開発
(出典)日本電信電話株式会社(2023)「IOWN Technology Report2023」

また、低軌道衛星や高高度プラットフォームシステム(HAPS:High Altitude Platform Station)等の非地上系ネットワーク(NTN)については、ソフトバンクが、あらゆる通信技術を1つに統合し、ユースケースに合わせて陸・海・空どこでも通信を提供するユビキタスネットワーク構想の実現に向けて、低軌道衛星とともに、「HAPSアライアンス」等を通じたHAPSの活用を推進している。スペースコンパスとNTTドコモはHAPSの2026年のサービス提供開始を目指した取組を推進しており、2025年2月にケニアにおいてデータ通信の実証実験に成功したことを発表している。また、楽天モバイルは、2024年2月、AST SpaceMobile社との衛星と携帯端末の直接通信による国内サービスを2026年内に提供を目指す計画を発表している。

イ 社会実装に向けた取組

Beyond 5Gの実現に向けては、様々な民間事業者、団体等において社会実装に向けた取組を進めている。

IOWN Global Forumでは、IOWN構想の実現と普及に向け、2030年頃の将来を見据えたユースケースだけでなく、2025年頃の実用化・事業化を目標としたユースケースを各業界と連携して検討しており、2025年頃の初期導入事例として、金融業界向けデータセンター接続、放送業界向け遠隔・クラウドメディア制作等を挙げている。今後、商用化に向けて仕様策定や実証を進めていくとしている。

実際に、東急不動産では、2023年6月にNTT各社とIOWN構想に関連した技術・サービス等を活用した新たなまちづくりに向けた協業に合意し、最初の取組として、2023年12月に「Shibuya Sakura Stage」へIOWN 1.0を導入した。

また、国際標準化に向けては、NICTや「Beyond 5G推進コンソーシアム」等を中心に、Beyond 5Gに係る国際的なビジョン作りに貢献してきており、2023年11月には国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)において、我が国の提案も反映される形で、6Gを念頭においた「IMT-2030」の能力やユースケース等を含む全体像を示すフレームワーク勧告が承認された。

さらに、2023年世界無線通信会議(WRC-23)では、HAPS等の非地上系ネットワーク(NTN)を含めたBeyond 5Gの実現に向けた議題において周波数等が確保された。

ウ 海外展開に向けた取組

Beyond 5Gに向けては、NTT各社は、IOWN Global Promotion Officeを設立する等してグローバル展開に取り組んでおり、NTT及びNTTデータグループが米国及び英国においてオール光ネットワークによるデータセンター間接続の実証を実施しているほか、2023年10月、NTTと台湾・中華電信との間で、IOWNによる国際ネットワーク接続の実現に向けた基本合意書を締結し、2024年8月、中華電信のデータセンターからNTT武蔵野研究開発センターまで約3,000kmのオール光ネットワークを開通した。これに加え、富士通も、2024年2月、中華電信との間で、台湾におけるIOWN構想に基づくオール光ネットワークの構築に向け、共同検討することを発表しているほか、2024年8月、欧州におけるオール光ネットワークのビジネス展開を目的としたオープンAPNラボをドイツに開設した。また、光分野においては、我が国企業が特に北米を中心とする世界市場において主要な伝送装置のシェアを伸ばしている。



10 「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」とは、NTTが主導するあらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想である。

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