日本、米国、ドイツ、中国の4か国を対象に実施したアンケート調査をもとに、企業におけるAI利活用の現状について整理した。
自分が所属する企業における生成AIの活用方針について尋ねたところ、日本では、「積極的に活用する方針」「活用する領域を限定して利用する方針」を定めている企業の比率は、2024年度調査では49.7%となり、2023年度調査(42.7%)と比較して増加していた。一方、今回調査した他の国と比較すると、引き続き日本は他の国より低い傾向にある(図表Ⅰ-1-2-12)。
また、日本国内の状況について企業規模別にみると、中小企業では特に「方針を明確に定めていない」との回答が多く、約半数を占める。日本の中小企業では大企業と比較して生成AIの活用方針の決定が立ち遅れている状況が見て取れる(図表Ⅰ-1-2-13)。
さらに、生成AIの活用が想定される業務に関して活用状況を尋ねたところ、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は、日本で55.2%(「業務で使用中」と回答した割合)であった(図表Ⅰ-1-2-14)。個別業務に関しては、例えば、「メールや議事録、資料作成等の補助」に生成AIを使用していると回答した割合は、日本で47.3%(「業務で使用中」と回答した割合)であった23。いずれも、他国と比較すると低い割合にとどまっている。
【関連データ】企業における業務での生成AI利用率(業務別・国別)
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00046(データ集)
生成AI導入に際しての懸念事項について尋ねたところ、日本では、「効果的な活用方法がわからない」が最も多く、次いで、「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」「ランニングコストがかかる」「初期コストがかかる」ことが挙げられている(図表Ⅰ-1-2-15)。
生成AIの活用推進による自社への影響に対する考え方について、日本では、「業務効率化や人員不足の解消につながる」が最も多く挙げられている。他の3か国においてはビジネスの拡大や新たな顧客獲得、新たなイノベーションを多く挙げる傾向にある。総じて、4か国いずれも、業務効率化やビジネス拡大等のポジティブな面を、セキュリティリスク拡大などネガティブな面よりも注目しているといえる(図表Ⅰ-1-2-16)。
23 企業における個別業務ごとの生成AI利用率については、より推計精度を高めるため、2023年度調査と推計方法を変えたため、2024年度調査と2023年度調査とは単純比較はできない。
24 所属企業のAI活用方針を知っている者に対して、何らかの業務で生成AI利用していると回答した比率を基に推計