社会・経済のデジタル化が加速する中、通信ネットワークの整備・高度化や課題解決に効果的なデジタルソリューションへのニーズが増大している。また、経済安全保障に関する議論が活発化するなかで質の高いインフラの重要性がクローズアップされている。こうした中、二国間、多国間での枠組を活用し、我が国の有する質の高いインフラを海外に展開することは、各国の社会課題のみならず、気候変動等の世界的な課題の解決に寄与し、更には国連持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献するものである。また、我が国のデジタル技術の普及、開発の土壌の整備により国際競争力を高めてプレゼンスを示していくことは、我が国の経済の発展のためにも重要である。
このような状況の下、総務省では、2025年6月、「インフラシステム輸出海外展開戦略2030」の中核を成すデジタル分野について、2030年頃を見据えて、国際競争力強化及び経済安全保障の確保に向けた各種政策を進めるに当たっての基本的考え方を定めるとともに、今後具体的に取り組む事項をまとめた「デジタル海外展開総合戦略2030」2を策定した。今後、同戦略に基づき、グローバルファースト、マーケットイン、同志国との連携強化といった考え方を柱として、国際競争力の強化や経済安全保障の確保の観点から重点分野を設定し、研究開発からグローバルな市場獲得まで一貫した戦略的な取組を推進していくこととしている。
また、引き続きデジタル分野における国際的なルール形成を先導していくため、国際会議などの場を活用し、国際的議論に積極的に参画していくことが重要である。
2 「デジタル海外展開総合戦略2030」の公表(2025年6月11日)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin06_02000319.html