総務省では、2007年度から、ICTを地域の課題解決に活用する取組に対して、地方公共団体等からの求めに応じて、ICTの知見、ノウハウを有する専門家(「地域情報化アドバイザー」)を派遣し、助言・提言・情報提供等を行うことにより、地域におけるICT利活用を促進し、活力と魅力ある地域づくりに寄与するとともに、地域の中核を担える人材の育成を図っている。さらに、2025年度からは、地方公共団体からの推薦に加え、地方公共団体等と共同で事業を実施していること等を要件に地場企業等にも派遣対象を拡大した。
「地域情報化アドバイザー」は、2025年度、大学での研究活動や地域における企業活動、NPO活動等を通じた地域情報化に知見・ノウハウを持つ民間有識者等242名に委嘱しており、2024年度には297件の派遣を行った。
デジタル人材を地域へ派遣するシェアリングスキームは、複数存在しており、派遣対象、派遣期間、目的及び有するスキルなどがそれぞれ異なるところ、デジタル人材を求める地域が、目的に応じた適切な制度や人材のマッチングを支援する「デジタル人材ハブ(仮称)」を2025年度に設けることを予定している。
デジタル人材ハブの主な機能としては、地域情報化アドバイザー派遣制度等、総務省が実施するデジタル人材のシェアリングスキームについて、目的に応じ適切な制度を選択できるよう支援することや、DX人材を必要としている自治体及び地域社会に対し、人材リストを提供するスキームの中から目的に応じた適切な人材の情報の提供等を検討しており、デジタル人材ハブを通じ、適切なマッチングを行うことで、地域情報化の推進を加速させる。
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大を経て、2024年の企業のテレワーク導入率は全国47.3%3と一定程度の普及が進んだ一方で、近年は一部企業で出社回帰の傾向がみられるとともに、依然として都市部と地方部、業種間での格差が生じている状況にある。
このような状況の中、テレワークに関する機運醸成の観点から、テレワーク月間実行委員会(内閣官房内閣人事局、内閣府地方創生推進室、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、観光庁、環境省、一般社団法人日本テレワーク協会、日本テレワーク学会)の主唱により、毎年11月をテレワークの集中取組期間である「テレワーク月間」として、テレワークの実施に際しての効果測定(働き方改革寄与、業務効率化等)の調査や、関係府省庁等によるイベントやセミナーを開催している。また、先進事例の選定・公表を通じて企業などのテレワーク導入のインセンティブを高め、テレワークの導入を検討する企業にとっての参考事例の蓄積にもつなげるため、総務省では、2015年から、テレワークの十分な利用実績が認められる企業の表彰を行っている。
2024年には、テレワークの活用が一定程度広がった現状を踏まえ、テレワークの制度導入や十分な活用実績に留まらず、テレワークの活用による経営効果の発揮や、テレワークの導入が馴染まないと思われている業態の企業におけるテレワーク活用・業務改革等において、特色ある取組を実施しており、その内容が優れている企業・団体を「テレワークトップランナー2024」として選定・公表し、特に優れた取組を行っている企業には「総務大臣賞」を授与した。
総務省では、実施率が依然低水準な中小企業や地方でのテレワーク導入を支援するため、地域の商工会議所や地方自治体等と連携し、テレワークに係る地域相談窓口を全国的に整備し、相談受付等を実施している。さらに、テレワークの導入や改善を検討している企業などを対象として、専門家(テレワークマネージャー)による無料の個別コンサルティングも実施し、効果的なテレワーク活用の普及に向けて取り組んでいる。これらの支援は、2022年度からは厚生労働省の労務系のテレワーク相談事業と一体的に運用し、「テレワーク・ワンストップ・サポート事業」として共同で実施している。
そのほか、総務省では、テレワーク導入の課題として多く挙げられる情報セキュリティ上の不安を取り除くため、企業などがテレワークを実施する際に参照できるよう、「テレワークセキュリティガイドライン」や「中小企業など担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」を策定している。
3 総務省「令和6年通信利用動向調査」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/250530_1.pdf