近年、農業、インフラ点検、物流、災害対応、エンターテインメント等の様々な分野でドローンの利用が進んでいる。ドローンの利用にあたって電波の活用は必要不可欠であり、例えば、ドローンの個体識別情報となるリモートIDの送信、地上からドローン機体を制御するためのコマンド送信、ドローンで撮影した映像を操縦者等に伝送するための画像伝送用通信等、それぞれの用途に適した各種の無線システムが利用されている(図表Ⅱ-2-3-6)。
総務省では、ドローンの利活用ニーズの拡大を踏まえ、上空での電波利用環境の向上に向けた取組を推進している。前述の無線LANのほか、主なものは以下のとおりである。
○携帯電話等の上空利用
携帯電話をドローン等に搭載し、携帯電話網を利用してドローンの制御や画像・データ伝送等を行いたいとのニーズを踏まえ、総務省では、800MHz帯、900MHz帯、1.7GHz帯及び2GHz帯のFDD方式の周波数帯について、2020年12月に簡易な手続きでLTEの上空利用を、また、2023年4月に高度制限の撤廃や5G方式の利用を可能とする制度整備を行った。さらに、ドローン等による撮影動画データの高速アップロード等のニーズに対応するため、2025年5月、5Gやローカル5G等で使用するTDD方式の周波数帯の上空利用を可能とする制度整備を行った。
○5.8GHz帯ドローン用特定実験試験局
米国・欧州・中国・韓国等の諸外国においては、5.8GHz帯を使用するドローンが広く普及している。我が国では5.8GHz帯はITS用の無線システムであるDSRC等に使用されているが、日本でも5.8GHz帯を使用した機能検証を行いたいとのニーズもあることから、総務省では、簡易な手続で実験試験局を開設することが可能な特定実験試験局制度の対象とすることに取り組んできた。既存のDSRC等の無線局に影響を与えない周波数や使用地域等の条件の検討を行い、2024年11月、5.8GHz帯ドローン用特定実験試験局の告示を公布した。