総務省では、2021年2月にNICTに設置した時限基金の後継として、2022年12月に成立・施行した「国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律」(令和4年法律第93号)に基づき、2023年3月にNICTに恒久的な基金を造成し、新たに革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業を実施している。
本基金事業においては、社会実装・海外展開に向けた研究開発プロジェクトを実施する「社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム」、中長期的な視点で取り組む要素技術の確立や技術シーズの創出のための研究開発を対象とする「要素技術・シーズ創出型プログラム」、「電波法」(昭和25年法律第131号)第103条の2第4項第3号に規定する技術の研究開発を対象とする「電波有効利用研究開発プログラム」の3つのプログラムを設けている。
特に、本基金事業の主たる対象である「社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム」については、情報通信審議会中間答申を踏まえ、「オール光ネットワーク技術6」、「非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)技術7」、「セキュアな仮想化・統合ネットワーク技術8」を重点技術分野とし、社会実装・海外展開に向けた戦略とコミットメントをもった研究開発プロジェクトを重点的に支援する「事業戦略支援型」と、社会実装・海外展開の早期の実現のために必要となる業界横断的な共通基盤領域又は協調領域に該当する技術を国が主導して開発する「共通基盤技術確立型」の2種に分類される。
その実施に当たっては、情報通信審議会(情報通信技術分科会技術戦略委員会)下の「革新的情報通信技術プロジェクト事業面評価等WG」9においてとりまとめた「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業に係る事業面からの適切な評価の在り方等について」(2023年3月10日公表)を踏まえ、2023年度には社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(事業戦略支援型)等において17件の主要な研究開発プロジェクトを採択するとともに、同プロジェクトと一体で取り組むべき国際標準化活動に対する支援を開始した。さらに、2024年度には、社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(共通基盤技術確立型)において、オール光ネットワークの事業者間連携のための共通基盤技術の研究開発を開始するなど、基金事業を活用したBeyond 5Gの実現に向けた取り組みが進められている。
6 有線ネットワークを光電融合技術の活用によりエンド・ツー・エンドで光化し、通信インフラの超高速大容量、超低遅延、超低消費電力を実現する技術。
7 HAPSや通信衛星で陸海空・宇宙をシームレスにつなぎ、非居住地の通信インフラの構築や大規模災害時の通信インフラを冗長化する技術。
8 ユーザニーズに応じた柔軟性の高い通信インフラを専用ハードウェアのソフトウェア化によって実現し、利用者にとって安全かつ高信頼な通信環境を確保する技術。
9 「革新的情報通信技術プロジェクトWG」より名称変更(2024年2月22日)