インターネットやSNSの普及等による郵便物数の減少や、燃料費等物価の高騰の影響もあり、2022年度の日本郵便の郵便事業の営業損益は民営化以降初めての赤字となったことに加え、その後の見通しも非常に厳しいものであった。これを踏まえ、2024年6月13日に、総務省において、25グラム以下の定形郵便物の料金の上限を定める「郵便法施行規則」(平成15年総務省令第5号)の改正を行った。これを受けて、同日、日本郵便から郵便料金変更の届出がなされ、同年10月1日に郵便料金の改定が行われた。
また、上記の改正に当たり付議した「物価問題に関する関係閣僚会議」等において、郵便事業のより安定的な提供を将来にわたって確保する観点から、郵便料金に係る制度の見直しの検討を行うよう求められたこと等を踏まえ、総務省において、2024年6月、情報通信審議会に対して、「郵便事業を取り巻く経営環境等の変化を踏まえた郵便料金に係る制度の在り方」について諮問を行い、同審議会郵政政策部会の下に設置された郵便料金政策委員会において検討が開始された。具体的には、①郵便事業を取り巻く経営環境等が変化する中での郵便料金に係る制度の在り方、②透明性・適正性のある郵便料金の算定の在り方などについて議論が行われたところであり、2025年夏頃を目途に答申を受ける予定となっている。
2018年6月に、郵政事業のユニバーサルサービスの提供を安定的に確保するため、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金・拠出金制度が創設され、2019年4月から制度運用が開始された。郵政管理・支援機構が、交付金の交付、拠出金の徴収等を実施しており、2025年度の日本郵便への交付金の額は約3,207億円であり、拠出金の額はゆうちょ銀行が約2,631億円、かんぽ生命が約577億円となっている。