無線LANは、IEEE(米国電気電子学会)において策定された標準規格が、スマートフォン等に組み込まれ世界的に使用されている。国内でも、駅・空港等の公共の場にアクセスポイントが設置され、オフィスや家庭のみならず、屋外のサービスや学校教育での利用、災害被災地での通信確保等、社会インフラとして国民の重要な通信インフラの一つになっている。
総務省では、諸外国での導入状況や国内のニーズ等を踏まえ、無線LANの高度化に係る検討を継続的に行っている。近年では、無線LANの技術を活用したドローン等の利用拡大により、無線LANを組み込んだ機器の屋外・上空利用のニーズが増えている。その一方で、特に上空で使用できる周波数チャネルの数が不足している現状を踏まえ、2023年から5GHz帯における上空での利用拡大に向けた検討を行い、2024年12月に「5.2GHz帯無線LANの上空利用に係る技術的条件」をとりまとめ、2025年4月に無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)等の改正を行った。5.2GHz帯無線LANの上空利用が導入されることで、橋梁等のインフラ点検や空撮による映像作成などへの利用の拡充が期待される(図表Ⅱ-2-3-5)。
さらに、将来のモバイル通信のトラヒック増や多様な利用ニーズに対応可能な無線LANシステムの実現に向けて、6GHz帯(5925MHz-6425MHz)無線LANの屋外利用及び6.5GHz帯(6425MHz〜7125MHz)への屋外利用を含む周波数帯域の拡張に係る周波数共用等の技術的条件の検討を行っている。このうち2024年度には、上記の周波数帯を利用する既存の無線局等への有害な干渉を与えないようにするために必要なAFC(Automated Frequency Coordination)システム5について、同システムの構築や動作検証を行うための技術的な検討や、運用するための体制や運用モデルのあり方等に関する検討を実施した。
5 6GHz帯及び6.5GHz帯を利用する既存の無線局等への有害な干渉を回避するために、自動的に利用可能な周波数と最大送信電力を通知するシステム。