平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第1章 情報通信と成長を結ぶ経路

(1)米国

 2009年1月に就任したオバマ大統領は、選挙中から「技術・イノベーション戦略」を主要施策の一つに掲げ、公約の中に情報通信分野の施策を重点的に盛り込んできた。大統領就任以降は、1月3日に大型の景気対策として「米国再生・再投資計画」を発表し、次世代に向けた環境投資などと並び、ブロードバンド基盤の整備や医療・教育の情報化を柱の一つとした需要喚起に取り組んでいる。

ア 「技術・イノベーション戦略」
 新大統領は、「技術・イノベーション戦略」を主要施策の一つとして位置づけ、以下の施策を掲げている3
○全ての学校、図書館、世帯、病院を世界で最も進んだ通信インフラに接続
○電子政府実現に向け、連邦政府全体を統括するCTO(Chief Technology Officer)を指名
○情報技術を活用した医療制度のコスト削減

イ 「米国再生・投資計画」
 新大統領は2009年1月10日に「米国再生・投資計画」を公表した。本計画は、全体で約7,750億ドル(約74兆円)規模の投資により、2010年第4四半期時点で、300〜400万人の雇用増(うち、90%は民間部門、10%は公共部門)及び、実質GDPの3.7%増加を見込むものである。
 情報通信関連の項目は以下の通りである。
○医療記録の電子化を進め、コスト削減だけでなく重大な医療事故を防ぎ、医療分野で数十万人の雇用を創出
○学校に、21世紀型教室、研究室、コンピュータ等を備えることで、児童が多種多様な仕事で世界中の人々と競うことを助け、教育分野で数十万人の雇用を創出
○地方の中小企業が、世界中のカウンターパートと連携・競争できるように、ブロードバンド回線を拡大
 同計画は、2月13日に法案化され、最終的には総額7,872億ドル(約75兆円)が予算として計上された(うち予算支出は3,111億ドル(約30兆円)、減税措置は4,761億ドル(約45兆円))。
 このうち、情報通信関連の予算項目は以下の通りとなる。
A)ブロードバンド普及:72億ドル(約6,840億円)
○ブロードバンド融資、融資保証、補助金プログラム:25億ドル(約2,380億円)(農務省ルーラル公共サービス:RUS)
・ルーラル地域における遠隔教育と遠隔医療サービス向けの直接融資及び補助金(米国内全ての地域のブロードバンド・インフラに利用可能)
○ブロードバンド技術機会プログラム:47億ドル(約4,500億円)(商務省国家電気通信情報庁:NTIA)
・ブロードバンドサービス開発・拡大プログラム補助金:43.5億ドル(約4,130億円)
 ・コミュニティ大学や公共図書館等の公共コンピュータセンターの容量拡張への補助金
 ・ブロードバンドサービスの持続可能な加入を奨励する革新的プログラムへの補助金 等
B)デジタル・アナログ変換ボックス・プログラム:6.5億ドル(約620億円)
C)医療IT(医療情報の電子化等)の普及と利用の確保:190億ドル(約1兆8,000億円)(減税措置含む)


3 詳細はホワイトハウスホームページ“the Agenda/Technology”()を参照

 第1節 経済再生における情報通信の重要性

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