平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第2章 世界経済の変動と日本の情報通信

コラム ブログ市場の広まり

 日本で本格的にブログがサービスとして提供され始めてから、約5年が経過したが、インターネットユーザが自ら情報を発信することができる利用者発信型メディア(CGM)として、一般に広く普及している。ブログには、ユーザ同士の情報交換を促す機能(トラックバックなど)が標準で備わっており、単なる情報発信メディアからコミュニティメディアへと発展し、ネットユーザーの層を広げる役割を果たしたものと考えられる。
 当初、ブログサービスを提供する事業者は、サービス自体は無料で提供する一方で広告主から掲載料を徴収する広告収入モデルを採用しているケースが大半であり、従来からの広告収入に加えた収益モデルの確立が課題となっていた。その後、事業者に加え一般のネットユーザーこそが価値のある情報の提供者となるといった潮流が生じ、企業や商品のサイトを個人のサイトで紹介してリンクさせる「アフィリエイト」という手法等の新しい収益モデルが登場してきた。このような背景の下、ブログ市場規模(ブログ事業者や利用者が、電子商取引、広告、出版、ソフトウェア、有料サービスのブログ活動自体から直接得る収益の総額)は、平成16年の約7億円1から、平成20年には約160億円2と飛躍的な成長をとげるに至った。
 この中でも特に「クチコミブログ広告」と呼ばれる手法が、不況下でメディアへの広告出稿が落ち込む中、ブログ事業者大手などに採用され注目を集めている。このクチコミブログ広告とは、「ブロガー」といわれるブログの書き手に企業の販促商品やサービスを紹介し、利用した感想等の記事をブログに掲載してもらうことで広告のコンテンツとする手法である。
 ただし、ブロガーが誇張ないし宣伝の度合いが強すぎる記事を書いてしまうと、一種の「やらせ」行為となり、広告としての信頼感が損なわれてしまうといった課題も一方では存在する。このような課題に対しては、クチコミ広告に関するガイドライン策定等の活動を行う団体の設立を目指す動きが見られている。
 このように、ブログ市場は、利用者の体験に基づく評価やノウハウなど従来のメディアでは得がたい各種の有用な情報が容易に入手できるCGMの特徴を活かし、事業者、ブロガー等の間で安定した収益モデルを模索しながら、今後も成長を続けていくものと考えられる。
 
図表1 ブログ市場(平成20年)の内訳
図表1 ブログ市場(平成20年)の内訳
(出典)総務省「ブログ・SNSの経済効果に関する調査研究」(平成21年)
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1 総務省「ブログ・SNSの現状分析及び将来予測」(平成17年)
2 総務省「ブログ・SNSの経済効果に関する調査研究」(平成21年)

 第1節 課題に直面する日本の情報通信

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