平成21年版 情報通信白書

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第2部 情報通信の現況と政策動向

第4章 情報通信の現況

(2)EUの情報通信政策の動向

ア EU
 EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は、2007年11月13日、現行の通信規制パッケージ(2002年成立)にかわる新しい規制関連法案を、欧州議会に提出した。EUの主要目標の一つは「単一の欧州市場の形成」であるが、電子通信分野に関しても規則(Regulation)、指令(Directive)、決定(Decision)といったEU(EC)法を適用することにより、単一の欧州情報社会の形成を目指している。提出されたのは、現行規制の改正に関する指令案2つと、汎欧州的な通信市場監督機関(ETMA:European Telecom Market Authority)の設置に関する規則案である。
 さらに、欧州議会は同年9月24日、欧州委員会の当初の提案より権限を縮小した欧州電気通信規制機関(BERT:Body of European Regulators in Telecommunications)を創設するという欧州議会議員の提案を支持した。BERTは、独立の専門家諮問機関として、EU全域における公正競争及び高品質サービスの確保を支援するものである。これは27か国の規制当局で構成される既存の規制機関委員会をベースとするものといわれている。
 これを受けて欧州委員会は、同年11月7日、欧州議会に対し譲歩し、新たな修正案を提示した。11月27日、電気通信担当のEU理事会が開催され、共通の立場を採択したが、引き続き、欧州議会及び欧州委員会と調整が行われている。欧州議会選挙が6月に予定されていることから、それまでの時期を目途に結論を得るべく関係者間で調整がなされている。

イ 英国
 ビジネス・企業・規制改革省(以下、BERR)と文化・メディア・スポーツ省(以下、DCMS)は、2008年10月17日、包括的なICT戦略「デジタル・ブリテン」を共同で策定することになったと発表した。同戦略は、デジタル経済の包括的分析をはじめ、デジタル・通信セクターにおける成長速度をより速め、またデジタル経済の知識・学習における世界的リーダーとしての英国の地位を確固たるものとすることを目的とする。2009年1月には中間報告が発表され、[1]2G無線周波数の規制枠組の近代化、[2]ブロードバンド・サービスのユニバーサル・サービス義務化、[3]ラジオのデジタル化への移行推進、[4]デジタルコンテンツの違法利用阻害を目的とした産業界機軸の「Rights Agency」の創設、[5]BBCの競争事業者としてのチャンネル4の再編等の内容が提案された。同年6月には最終報告が公表されている。

ウ フランス
 2008年3月の内閣改造で、政府はフランス経済全体のデジタル化推進を担当する「公共政策調査・評価・デジタル経済開発」閣外相(以下、デジタル経済開発相)のポストを設けた。同相の主導で、10月に固定・移動双方でのブロードバンド・インターネットとデジタルテレビの普及を主な政策目標に掲げたアクションプラン「デジタルフランス2012−デジタル経済促進計画」が発表された。
 「デジタルフランス2012」では、2010年までに国民すべてを35ユーロ/月以下の料金でブロードバンドに接続可能とするため、2009年前半に地域ごとの「ブロードバンド・ユニバーサル・アクセス」事業者の入札を実施するとしている。特にFTTH普及促進については、2012年までに加入者数400万という目標達成のため、ルーラル地域における地方自治体の役割が重視され、自治体の管理する水道管等の生活インフラへの光ファイバー管路敷設が推奨されている。
 「デジタルフランス2012」のもう一つの主要テーマである放送デジタル化については、2011年11月の全国アナログ放送停止を目指して地方ごとの停波計画が進んでおり、2009年3月に東部の国境地域で停波を開始したところである。

 第8節 海外の動向

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