平成21年版 情報通信白書

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第2部 情報通信の現況と政策動向

第4章 情報通信の現況

(3)中国の情報通信政策の動向

ア 政府主導の事業者再編―6社からフルサービスを運営する3社体制へ−
 2008年5月、政府より、2002年の旧中国電信の南北分割に続く再度の大型事業者再編に関する通告が発出された。具体的には、CDMAとGSMを同時に運営していた中国聯通(チャイナユニコム)を事業ベースで分割し、CDMA事業を固定通信最大手の中国電信(チャイナテレコム)に売却してから、固定通信第2位の中国網通(チャイナネットコム)を買収する。また、CDMA事業を買収した中国電信が中国衛通(チャイナサテライト)の基礎通信事業も吸収する。さらに、GSMを運営していた移動通信最大手の中国移動(チャイナモバイル)が固定通信事業者3番手の中国鉄通(チャイナレールコム)を吸収する。これによって、2000年以降続いていた6事業者体制が終わり、移動通信と固定通信を同時に運営できる3事業者体制となった。

イ 3社に3G免許を付与
 2009年1月、工業・情報化部は中国移動にTD-SCDMA、中国電信にCDMA2000、さらに中国聯通にW-CDMA方式の3G商用免許を付与した。これを受けて、各社は今後の3G投資計画をそれぞれ明らかにした。それによれば、2009年には約1,700億元、今後3年以内に約4,000億元の3G投資が見込まれており、2011年には全国の全都市を3Gサービスがカバーする予定である。
 中国移動は2008年4月より既に北京、上海等で試験サービスを開始しているが、2009年にはTD-SCDMAネットワークの構築に588億元を投入し、6万の基地局を新設することとしている。
 中国電信は、今後3年間でCDMAネットワークのアップグレードに約800億元を投入することにしている。既に2009年4月から北京市で3Gデータ通信サービスを開始しており、同年5〜6月を目途に3G音声サービスも開始される予定である。
 中国聯通は、2009年にW-CDMAネットワークの構築に約600億元を投入し、8万の基地局を新設することにしている。2009年5月を目途に3Gサービスを開始予定であり、今後、2010年に3Gサービスの黒字化を実現し、2年以内に音声通信とデータ通信の利益を同水準にする予定である。

ウ PHSサービスの終了へ
 2009年2月、工業・情報化部は中国電信や中国聯通等に対し、中国版PHS「小霊通」に割り当てられている1900〜1920MHz帯の周波数の利用を2011年末までに停止するよう求めた。ピーク時には全国で9,100万人を超える小霊通サービス利用者がいたが、拡大する携帯電話市場とは対照的に小霊通サービス利用者の減少傾向に歯止めがかからず、2008年末時点の利用者数は7,000万人を割り込み、6,893万人まで減少した。2007年末時点の利用者数は8,454万人だったことから、2008年の1年間だけで約1,500万人も減少した計算となる。

 第8節 海外の動向

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