平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第2章 世界経済の変動と日本の情報通信

(3)新興国を含めたグローバル競争が本格化

●情報通信産業の国内自給率は減少傾向にあり、特に情報通信製造業の自給率低下が顕著
 次に、情報通信産業における国内市場と国外市場の関係を見てみよう。図表2-1-2-7は情報通信産業の国内自給率を示したものであるが、平成7年以降年平均0.3%減となり、緩やかな減少傾向にある。情報通信産業内の内訳を見ると、情報通信関連製造業の自給率低下が著しく、平成19年で70.6%となり、電気機械(パソコン等を除く)における自給率の推移と類似の傾向となっている。
 
図表2-1-2-7 情報通信産業における国内自給率の推移
図表2-1-2-7 情報通信産業における国内自給率の推移
総務省「情報通信産業連関表」により作成
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/link/link03.html
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●情報通信関連製造業におけるアジアからの輸入増が特徴的
 以上の結果を踏まえ、特に情報通信関連製造業に注目してみよう。図表2-1-2-8は、情報通信関連製造業における地域別の輸出額と輸入額を比較したものだが、北米14及び西欧15に対しては平成7年以降一貫して輸出が輸入を上回っている一方、アジア16に対しては一貫して輸入が輸出を上回り、しかも輸入が急増していることが特徴的である。なお、アジアからの輸入は、平成7〜19年の間、年平均8.7%の上昇率となっている。
 
図表2-1-2-8 情報通信関連製造業における日本の対地域別輸出入額の推移
図表2-1-2-8 情報通信関連製造業における日本の対地域別輸出入額の推移
財務省「貿易統計」により作成
http://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm
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 アジアからの輸入が急増していることを踏まえ、アジアの6つの国・地域(韓国、中国、台湾、ベトナム、タイ、インド)からの輸入の動向に特に注目してみよう(図表2-1-2-9)。輸入額をみると、中国からの輸入が急増し、平成12〜19年の年平均伸び率は22.7%となっている。その他の輸入先は、台湾、韓国、タイが主要国・地域となるが、減少または横ばいとなっている。一方、輸出先も対中国が増加しており、日本と中国の間で、情報通信機器の輸出入が同時に上昇(コラムを参照)していることとなる。
 
図表2-1-2-9 情報通信関連製造業における日本の対アジア各国(地域)別輸出入額の推移
図表2-1-2-9 情報通信関連製造業における日本の対アジア各国(地域)別輸出入額の推移
財務省「貿易統計」により作成
http://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm
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●中国等の新興国を含めたグローバル競争が本格化
 以上見てきたように、情報通信産業では、アジア地域からの情報通信機器の輸入が増加傾向にあり、欧米等の先進国に加えて新興国も含む形で、グローバル競争が本格化しつつある。前出の情報通信機器の「コモディティ化」等による価格低下は、国内企業間の競争による効果のみならず、このようなグローバル競争の効果が高まりつつあることも大きな要因と考えられる。
 新興国は、賃金格差を武器に生産拠点を獲得して工業化に成功し、先進国から労働集約的で他産業との結びつきが弱い工業品(部品等)の生産を徐々に獲得しながら、関連する産業の熟度を高め、より技術水準の高い工業品を生産するような発展プロセスをとる17。世界経済のグローバル化が進展するにつれ、このような新興国による国際分業が複雑化・高度化すると考えられるため、日本の情報通信関連製造業としても、新興国を含めたグローバル競争に対処するために、事業単位の合従連衡や生産拠点の国内外立地の再編等の戦略的対応が必要となってくるだろう。


14 米国及びカナダを含む
15 アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、英国、アイルランド、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、フランス、ドイツ、スイス、ポルトガル、スペイン、イタリア、オーストリアを含む
16 韓国、北朝鮮、中国、台湾、モンゴル、香港、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、インド、パキスタン、スリランカ、モルディブ、東ティモール、マカオ、アフガニスタン、ネパール、ブータンを含む
17 Fujita, Krugman and Venables(1999)を参照

 第1節 課題に直面する日本の情報通信

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