平成21年版 情報通信白書

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第2部 情報通信の現況と政策動向

第5章 情報通信政策の動向

3 電波政策の展開

(1)電波政策概況

ア 電波新産業創出戦略の策定
 総務省では、平成20年10月より電波政策懇談会(座長:土井範久 中央大学理工学部教授)を開催し、2010年代の電波利用システム・サービスの将来像と電波有効利用方策について検討を行っている12図表5-2-3-1)。
 
図表5-2-3-1 電波政策懇談会における検討状況
図表5-2-3-1 電波政策懇談会における検討状況

 この中で、「ぶつからない車」や「コードのいらない快適生活環境」等、新しい無線通信技術を利用したシステムやサービスの実現により、2020年には新たに50兆円の電波関連市場が創出されるものと試算されているほか、少子高齢化問題、環境・エネルギー問題への対応など我が国が抱える諸問題の解決への貢献が期待されている。
 これらの2010年代の電波利用システム・サービスの実現に向け、5つの電波新産業創出プロジェクトを創設し、2020年に現在の100倍に周波数利用効率を向上させる技術とともに、利活用技術も含めた研究開発や周波数配分の取組を進め、電波新産業の創出に向けた分野横断的な環境整備が必要であると指摘されている。
 同懇談会は、平成21年7月に報告書を公表しており、総務省としては、今後、その結果を受けて電波新産業創出に向けた取組を実施してくこととしている。

イ 周波数再編及び利用環境整備の推進

(ア)周波数の移行・再編に向けた取組
 新たな電波利用システムが導入できる周波数を確保するため、総務省では、毎年、電波の利用状況を調査・評価するとともに、周波数の移行・再編の方向性を示す「周波数再編アクションプラン」を策定している。この結果等に基づき、総務大臣が周波数割当計画を策定する。
 周波数再編・移行については、デジタル化等により周波数の利用効率を高め、[1]収容数を拡大しニーズの増加に対応すること、[2]空いた周波数を利用して新たな電波利用システムを導入することができるよう、中長期の周波数割当ての抜本的見直し方針を立て、周波数割当計画を随時変更するなどしている。今後とも、新しいシステムの導入、周波数需要像に対応したダイナミックな周波数再編・移行を行っていくことが必要とされている。

(イ)地上テレビジョン放送のデジタル化完了後の空き周波数の有効利用
 総務省では、2011年(平成23年)7月24日に地上アナログテレビジョン放送が停波され、放送のデジタル化により空き周波数帯となるVHF帯及びUHF帯について、有効かつ効率的に再配分することにより、今後拡大する電波利用システムへの需要増に対応することとしている。平成19年11月の電波監理審議会答申13を受け、同年12月に周波数割当計画の一部変更を公布・施行した(図表5-2-3-2)。
 
図表5-2-3-2 地上テレビジョン放送のデジタル化に伴う周波数割当計画の変更
図表5-2-3-2 地上テレビジョン放送のデジタル化に伴う周波数割当計画の変更

 デジタル化により再配分する電波については、[1]移動体向けマルチメディア放送等の放送用、[2]安全・安心な社会の実現等のためのブロードバンド通信が可能な自営通信用、[3]需要の増大により周波数の確保が必要となる携帯電話等の電気通信用及び[4]より安全な道路交通社会の実現に必要なITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)等に使用される予定である。
 現在、これら4つの用途による周波数帯の利用について、使用可能となる平成23年または24年に向け、検討が進められている。

12 参考:電波政策懇談会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/denpa_seisaku/index.html
13 参考:VHF帯/UHF帯における電波の有効利用のための技術的条件に関する情報通信審議会からの一部答申:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/070627_4.html

 第2節 情報通信政策の展開

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