平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第1章 情報通信と成長を結ぶ経路

(1)人的資本の蓄積と成長

●情報通信は教育・人材の高度化や知識・情報の共有を通じて成長に寄与
 「知力」の経路は人的資本の蓄積を通じた成長への寄与である。人的資本の具体的内容としては、教育・人材や知識・情報などが該当する。人的資本の最大の特徴は、施設や設備といった物理的資本と異なり、公共財的な側面が強いことである。教育や人材の水準も、結局は知識や情報であり、誰でも同時に利用できるとともに他人の利用を完全には排除できないという性格がある。このため、いわゆる「外部性」が高く、人的資本を蓄積する効果が広く社会に波及する。これを最大限に活用すれば、社会全体として投資の収益は必ずしも逓減せず、持続的な成長が可能となる15。イノベーションを中心とした知的生産活動が成長のエンジンとなる面で、今日の知識経済のメカニズムをより的確に説明するモデルとなる。
 この経路において、情報通信が人的資本の蓄積に寄与する具体的な方法としては、例えば以下が挙げられる。
H)【教育・人材】 情報通信を活用した教育効果の向上や遠隔教育の普及によって、学校教育における就学率・進学率や生涯学習の参加率等が高まる
I)【知識・情報】 インターネット等のネットワークを通じた知識・情報の共有が進み、誰でも簡単に利用できるようになる


15 この点を強調したのがいわゆる「ニューエコノミー」論であり、日本でも「収穫逓増経済」などと呼ばれて話題となった

 第2節 情報通信と成長を結ぶ「経路」

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