平成21年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第2章 世界経済の変動と日本の情報通信

(2)情報通信産業にも及ぶ影響

●情報通信関連の経済活動が大きく停滞
 このような未曽有の経済停滞は、日本の情報通信産業にも確実にマイナスの影響を及ぼしている。まず、供給側から見てみよう。情報通信産業の経済活動水準を示す指標として、情報通信関連の鉱工業生産指数5及び第3次産業活動指数6をみると(図表2-1-1-2)、平成20年7〜9月期以降いずれも前年同期比でマイナスに落ち込んでいる。特に情報通信関連の鉱工業生産指数は、平成21年1〜3月期に前年同期比−44.0%と大幅な下落を示している。
 
図表2-1-1-2 情報通信関連の経済指標(前年同期比)の推移
図表2-1-1-2 情報通信関連の経済指標(前年同期比)の推移
(出典)総務省「情報通信産業の経済動向報告(2009年第1四半期)」
Excel形式のファイルはこちら

 なお、図表2-1-1-3は鉱工業生産指数及び第3次産業活動指数の変動に対する産業別の内訳を示すが、製造業もサービス業もほぼ全面的に活動が落ち込む中で、情報通信産業は、平成21年1〜3月期において、鉱工業生産指数の34.6%減のうち7.4%減、第3次産業活動指数の5.8%減のうち0.5%減をそれぞれ占めている。
 
図表2-1-1-3 鉱工業生産指数と第3次産業活動指数の変動に対する産業別の内訳
図表2-1-1-3 鉱工業生産指数と第3次産業活動指数の変動に対する産業別の内訳
(出典)総務省「情報通信産業の経済動向報告(2009年第1四半期)」
Excel形式のファイルはこちら

●情報通信関連の需要面をみても、消費、投資、輸出のいずれも大きく低下
 一方、情報通信関連の需要側について、消費、投資、輸出の順に見てみよう。まず消費について、情報通信関連支出の推移を示したものが図表2-1-1-4であるが、情報通信関連支出7(名目値)は平成20年10〜12月期に7四半期ぶりのマイナスとなった後、平成21年1〜3月期は前年同期比0.5%減となり、さらなる落ち込みを示している。
 
図表2-1-1-4 情報通信関連支出の推移
図表2-1-1-4 情報通信関連支出の推移
(出典)総務省「情報通信産業の経済動向報告(2009年第1四半期)」
Excel形式のファイルはこちら

 次に、投資を見てみよう。図表2-1-1-5は、民間企業の情報化投資の先行指標として情報通信関連機械受注8の推移を示したものであるが、平成21年1〜3月期は前年同期比24.9%減と大幅に下落している。
 
図表2-1-1-5 情報通信関連の機械受注の推移
図表2-1-1-5 情報通信関連の機械受注の推移
(出典)総務省「情報通信産業の経済動向報告(2009年第1四半期)」
Excel形式のファイルはこちら

 最後に、輸出を見てみよう。図表2-1-1-6は情報通信関連財9の輸出の推移を示したものであるが、平成21年1〜3月期は、全ての財が前年同期比減となり、トータルで48.4%減とこれまでにない大規模な減少となっている。図表2-1-1-1でみたように、日本経済全体としても大幅な輸出減の影響が大きかったが、情報通信産業においても全く同様である。大幅な輸出減が足下の短期的な活動停滞の主要因となっているため、世界経済の景気が上向くにつれ、情報通信産業のパフォーマンスも徐々に回復してくるであろう。
 
図表2-1-1-6 情報通信関連財の品目別の輸出推移
図表2-1-1-6 情報通信関連財の品目別の輸出推移
(出典)総務省「情報通信産業の経済動向報告(2009年第1四半期)」
Excel形式のファイルはこちら


5 総務省が情報通信関連製造業の動向を把握するために、経済産業省「鉱工業生産指数」から情報通信関連の品目を集計することにより作成している指標。具体的には、「情報化関連生産財」に民生用電子機械からカーオーディオを、「情報化関連資本財」に半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置、半導体・IC測定器を、「情報化関連消費財」に民生用電子機械のカーオーディオ以外(プラズマテレビ、液晶テレビ、DVD−ビデオ、ビデオカメラ、デジタルカメラ)を、それぞれ追加している。詳細は出典の付表を参照
6 総務省が情報通信サービス業の動向を把握するために、経済産業省「第3次産業活動指数」から情報通信関連の品目を集計することにより作成している指標。具体的には、情報通信業に広告業及び情報通信関連機器のリース・レンタルを追加している。詳細は出典の付表を参照
7 総務省「家計調査」のうち、電話通信料(固定及び移動計)、通信機器、パソコン、ビデオデッキ等、音楽・映像メディア、映画・演劇等入場料、書籍・他の印刷物等の合計
8 内閣府「機械受注統計調査」のうち、電気計算機、通信機、電子応用装置、電気計測器、半導体製造装置の合計
9 財務省「貿易統計」のうち、電算機類(含周辺機器・部分品)、映像・音響機器(含部分品)、科学工学機器、半導体等電子部品、通信機、電気計測機器、科学工学機器、記録媒体、電気回路等の機器、電池の合計

 第1節 課題に直面する日本の情報通信

テキスト形式のファイルはこちら

第1部第2章第1節1(1) 戦後最大のマイナス成長に陥りつつある日本経済 に戻る 2 日本の情報通信産業が直面する課題 に進む