平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第3章 日本復活へ向けた3つの挑戦

みんなでつくる情報通信白書コンテスト 一般の部 優秀賞受賞コラム

絵文字リテラシー
 
執筆 本田 しおんさん(私立藤村女子高等学校2年(当時)・東京都武蔵野市)
本田 しおんさん

コメント 喜怒哀楽の感情表現が不得手な私が絵文字という武器を手に入れたことで、感情表現が積極的になった。

 電話の受話器を通して聞く声では、いくら喜怒哀楽の微妙なニュアンスを伝えようとしても、相手にはなかなか伝わらず、その上、そのニュアンスをメールの言葉で伝えようとしても、「語彙」と「表現力」に乏しい私には容易なことではなく、とても苦労します。またその逆に、相手の電話ごしの言葉のニュアンスを正確に汲み取ろうとすればする程、深みにはまっていく私の存在があり、たびたび自分の無能さに怒りを覚えます。
 言うまでもなく、人の感情はとても複雑でデリケートなもので、「喜怒哀楽」は、この四字熟語で表わすことができる程簡単なものではありません。天気図の風向・風力のように、東西南北の方位で東南とか西北西と表す風向や、矢印の羽根の本数で強さを表す風力として全ての人が共通な情報を得られるものとは違います。「喜怒哀楽」の複雑なニュアンスを伝える方法は、表情・口調で直接相手の五感に働きかけること以外はないと思っていましたが、高校入学を機に携帯電話を持たせてもらい、絵文字というものを知り、それを使いこなせるようになったとき、この悩みがあっという間に解決してしまいました。
 絵文字は仮名や漢字のように正式的な表音を持たないため文字ではありませんが、自分の喜怒哀楽を伝えるツールと考えるなら、普通の文字以上にメッセージ性が高い上、使う方・受ける方の双方とも五感が直感できるスグレものです。その上、絵文字は既に全ての年齢層に受け入れられ市民権を得ていると思われます。例えば文字だけでは、OKのような短い言葉では、「やったぁ! わかった」「なぁんだ、そういうことか」「でもしかたないね」も同じ「OK」となりますが、「OK」は「やったぁ!」となり、「OK」は「なぁんだ」、そして「OK」とすれば「でもしかたないね」となり、喜怒哀楽のニュアンスを容易に伝えることができる上、相手と同じ感情を共有できます。絵文字で伝える喜怒哀楽のニュアンスは私たちの不完全なコミュニケーションの隙間を埋める瞬間接着剤となってくれています。その上、伝えたいメッセージがより的確なものになるだけでなく、体温も一緒に伝わり、無機質なものに血が通うものとなり、二者が同時に成立してしまうのだから不思議です。
 だからといって、私たちは絵文字コミュニケーションにだけ頼るという訳ではなく、五感を研ぎ澄まし、感性を磨き、日常のコミュニケーションの中にも絵文字のような直感的かつ血の通うコミュニケーションができたらと思います。言葉の大切さがわかれば、今、当たり前に使っている日本語に興味を深め、絵文字がなくても相手に高速で正確に伝えることができるようになると思います。そうなった時、今とは違う新たな絵文字リテラシーが生まれてくると思います。

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 第2節 Collaboration:国民的課題を克服するための「協働」

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